日本小児外科学会雑誌
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原著
当科で経験したobstructed hemivagina and ipsilateral renal anomaly(OHVIRA)症候群の検討
中原 康雄後藤 隆文片山 修一上野 悠人見 浩介青山 興司
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2017 年 53 巻 4 号 p. 899-904

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抄録

【目的】Obstructed hemivagina and ipsilateral renal anomaly(OHVIRA)症候群は,古典的には重複子宮の片側膣閉鎖とその同側腎欠損とを合併する症候群であるが,近年種々の亜型が報告されてきている.当院で経験した中にも特殊な経過を辿った症例があり,その臨床像について検討した.

【方法】2003年から2015年の間に当科で経験したOHVIRA症候群を対象とし,診療録を用いて後方視的に臨床所見を検討した.また同期間に当科受診し,画像検査を施行していた女児の片側腎欠損症例を検索し,腎欠損症にOHVIRA症候群を伴う頻度を推測した.

【結果】患側は右5例,左4例.発見の契機は,思春期の腹痛3例,胎児超音波検査4例,他疾患精査時1例,単腎の膀胱尿管逆流症の経過観察中1例であった.経過は開窓,中隔切除を施行した症例が4例,新生児期の自然穿破症例が1例,経過観察中が4例であった.合併する腎奇形は最終的に腎欠損が7例,低異形成腎・尿管異所開口が2例(1例は画像上腎欠損と診断していた)であった.同一期間の女児の画像上腎欠損症例は15例あり,画像上腎欠損を認めた場合のOHVIRA症候群合併頻度は15例中8例(53.3%)であった.

【結論】OHVIRA症候群は,片腎欠損を有する女児に高頻度に認めることが確認できた.OHVIRA症候群は,一連の形態異常の総称であり,腎泌尿器,生殖器両方において様々な形態異常をとりうることは周知されるべきであり,腎欠損のみならず低形成腎,multicystic dysplastic kidney(MCDK)症例においても本疾患の可能性を考えて診療を行うことが重要である.

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