症例は腹壁リンパ管腫に対して加療予定であった1歳8か月の女児.前日より続く外傷後の不機嫌と腹部の膨満,高度の貧血を認めたため精査加療目的に近医より当科へ紹介となった.来院時,腹腔内出血による出血性ショックと診断したが腹部造影CTでは明らかな出血源を認めなかった.集中治療室へ入室後,いったん安定したショック状態が増悪し,リンパ管腫による腹腔内への出血が判明したためインターベンショナルラジオロジー(以下,IVR)が施行された.腹壁リンパ管腫によりショックを伴う腹腔内出血を来した重症例の報告はなく,本症例は非常にまれな病態であった.