2017 年 53 巻 4 号 p. 934-937
症例は0生日の男児.近医で出生したが,肛門を認めず,直腸肛門奇形の診断で出生2時間後に当院搬送となった.出生22時間後に倒立位X線撮影,尿道造影検査を施行し無瘻孔型の低位型疑いと診断した.出生40時間後に直腸盲端までの距離確認のため,再度倒立位X線撮影を行い,出生44時間後に会陰式肛門形成術を行った.術後の全身状態は良好であったが,術後第1病日のCRPが11.4 mg/dlと高値で,徐々に腹部膨満を認めた.腹部X線検査を行ったところfree airを認め,消化管穿孔が疑われため手術となった.手術所見では,腹膜翻転部直上の直腸前壁が黒色調であり,同部位に穿孔を認めた.穿孔部の縫合閉鎖,人工肛門造設,腹腔内洗浄,ドレーン留置を行った.X線写真を見直すと,2回目の倒立位X線写真では既にfree airが存在していた.直腸肛門奇形は,稀ではあるが消化管穿孔を合併することがあるため,穿孔の可能性を認識しておく必要があると考えられた.