日本小児外科学会雑誌
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症例報告
初経前に発症した子宮内膜症の1例
内田 豪気廣部 誠一春松 敏夫藤村 匠加藤 源俊山本 裕輝小森 広嗣
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2017 年 53 巻 4 号 p. 949-953

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抄録

症例は12歳女児.既往歴:1年前に左卵巣非腫瘍性捻転の診断で緊急手術にて捻転解除,卵巣固定術を施行.経過観察にて患側卵巣内の囊胞性病変が増大し,腹痛も伴うようになった.画像所見(超音波検査,MRI)では単純性囊胞であったが,術後1年で17 cmに急速に増大した.経過中腫瘍マーカー(AFP, HCG-β, CA125)は正常範囲内であった.術前鑑別診断としては卵巣囊胞,囊胞性奇形腫,漿液/粘液性囊胞腺腫を考慮し手術を施行した.臍Ω切開にて開腹し,直視下で囊胞内容物を吸引した.内容物は黄色透明な粘液であった.減圧後,創より卵巣を創外へ脱転し観察するも捻転は認めなかった.充実成分は認めず囊腫核出術を行った.病理組織検査では卵巣子宮内膜症の診断であった.生理前に子宮内膜症を発症することは非常に稀である.今後骨盤内の癒着に伴う不妊,生理開始後の疼痛の可能性に関して長期的な観察が必要である.

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