2017 年 53 巻 4 号 p. 954-957
症例は,1歳4か月男児で,円筒状・母指頭大の臍ヘルニアを認めた.手術適応と判断し,ヘルニア門の閉鎖と同時に臍形成術を施行した.通常の臍ヘルニアと同様にヘルニア門の縫合閉鎖後,皮膚切開線を臍上縁の皺に沿って延長し,臍輪全周皮膚切開とした.臍の円筒状側面部分の皮膚を真皮レベルで剥離除去し,皮下組織は円筒状に残した.臍輪周囲を全周性に縫合閉鎖し,臍窩形成のために臍底部を術後1週間ツッペルガーゼで圧迫固定した.術後2年経過した現在も,臍窩のある正常形態の臍を維持している.巨大臍ヘルニアにおける臍形成術は,多くの場合,余剰皮膚が経過とともに縮小することがあり,術後長期間の形態維持は容易ではない.本術式は,臍窩部を利用するため皮膚が縮小する可能性が少なく,切開創が臍内にあるため整容性に優れており,長鼻様臍ヘルニアに対する臍形成術として有用である.