2017 年 53 巻 6 号 p. 1161-1165
【目的】小児日帰り腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(laparoscopic percutaneous extraperitoneal closure: LPEC)における腹腔鏡下腹直筋鞘ブロック(laparoscopic rectus sheath block: L-RSB)の有用性を検討した.
【方法】対象は女児鼠径ヘルニア57例とし診療録をもとに後方視的に検討した.Potts法にて根治術を施行した群をPotts群(n=19)とした.LPEC法に,L-RSBを施行した群をL-RSB群(n=28),臍周囲皮下に局所浸潤麻酔(local anesthetic infiltration: LAI)を施行した群をLAI群(n=10)とした.Face Pain Sale(FPS:0-5点)を用いて帰室後0分,30分,60分,180分での疼痛を評価した.3群間でFPS合計点,術後鎮痛薬使用人数および予定外入院数を比較検討した.
【結果】FPS合計点,術後鎮痛薬使用人数および予定外入院数はそれぞれPotts群で1.53±4.39点,2/19例,1/19例,L-RSB群で2.68±4.69点,5/28例,2/28例,LAI群で9.43±7.90点,7/10例,4/10例であった.いずれの評価項目においてもPotts群とL-RSB群の間に有意差は認めず,LAI群に対してほか2群で有意差を認めた(P<0.05).
【結論】L-RSBは安全かつ簡便で,LPEC術後鎮痛対策として有効性が示唆された.