2017 年 53 巻 6 号 p. 1195-1199
症例は2歳,男児.6か月時より頻回の嘔吐があり胃食道逆流症を疑い上部消化管内視鏡を施行した.上部食道に異物を認め陳旧性食道異物と診断した.内視鏡的摘出を試みたが食道壁への陥入が強く把持困難のため断念した.CTで上縦隔に膿瘍を認めた.食道の安静目的に胃瘻造設術を施行.異物のはまり方により食道内,胸腔側のどちら側からでも摘出できる工夫として内視鏡と胸腔鏡を併施し協調作業で摘出を行う方針とした.内視鏡および硬性鏡での鉗子把持は困難だった.胸腔鏡では膿瘍腔を同定したが食道壁との境界の判断が困難であった.内視鏡のガイドにより食道壁を損傷することなく膿瘍腔壁を同定でき切開し膿汁を得た.ここに鉗子を挿入すると異物が食道内に押し戻され内視鏡下に鉗子で摘出することができた.内視鏡と胸腔鏡の併施により食道内外からのアプローチが可能となり安全,確実な異物摘出を施行できた.