2017 年 53 巻 7 号 p. 1298-1301
症例は6歳女児,直腸脱を主訴に当院紹介受診となった.数年前より排尿時痛と排尿困難があった.便秘はなく,腹部レントゲン検査で骨盤内に4 cm大の石灰化した構造物を認めた.直腸診では便塊や腫瘤は触知しなかった.CT検査およびMRI検査にて膀胱内に4.5 cm大の石灰化を伴う腫瘤を認め,膀胱結石と診断した.排尿時痛がコントロールできず,翌日準緊急手術を施行した.全身麻酔下に膀胱を開放し,結石を摘出した.結石分析および尿中アミノ酸分析にてシスチン尿症と診断した.現在術後9か月経過するが,排尿時痛は消失し,直腸脱も消失した.膀胱結石と直腸脱を合併した報告は少ない.膀胱結石による排尿困難に伴って生じる怒責により腹圧が上昇したことに加え,膀胱結石により骨盤神経が刺激され,その刺激により膀胱の過剰収縮と同時に肛門括約筋の弛緩を起こし,直腸脱が生じたものと考えられた.便秘を伴わない直腸脱は,排尿障害の問診が重要と思われた.