日本小児外科学会雑誌
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症例報告
術前MRCPにて画像診断し得た重複胆管を伴った膵・胆管合流異常の1例
田中 智子文野 誠久馬庭 淳之介坂井 宏平東 真弓青井 重善古川 泰三田尻 達郎
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2017 年 53 巻 7 号 p. 1293-1297

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抄録

症例は2歳,女児.嘔吐,腹痛,高アミラーゼ血症で発症し,前医での画像検査で総胆管拡張を認めたため,先天性胆道拡張症と診断され,当科紹介となった.MR胆管膵管撮影(MRCP)および胆管造影CT(DIC-CT)にて,総胆管の重複と特殊な形態の膵・胆管合流異常を認めた.開腹術を施行し,術中胆道造影にて総胆管および副胆管の走行を確認してから,肝外重複胆管切除による分流手術を行った.重複胆管の斎籐分類ではIIIb型と診断した.重複胆管は総胆管が2本存在する極めて稀な奇形であり,特に小児では胆道拡張症に合併し,術中に診断されることがほとんどである.胆道拡張症の術前MRCPにおいては,本症を念頭に置いて読影することが望ましく,術前DIC-CT,あるいは術中胆道造影を丁寧に行い詳細な情報を得たことが,副損傷を避け,安全で確実な手術を施行するために有用であった.

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