日本小児外科学会雑誌
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症例報告
急性肝不全で発症した囊胞性線維症の1乳児例
三藤 賢志高間 勇一中村 哲郎中岡 達雄東尾 篤史大野 耕一米田 光宏
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2018 年 54 巻 1 号 p. 125-129

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抄録

患児は3か月,男児.生後2週頃より嘔吐が出現し,生後3か月の受診時,体重増加不良に加えて,腹部膨満が著明で腹部超音波検査にて多量の腹水を認めた.血液検査にて著明な凝固異常,低蛋白血症を認め,原因不明の急性肝不全として緊急入院となった.血漿交換,持続的血液濾過透析を行い,第6病日に原因検索のため開腹肝生検を施行し,病理組織所見からは囊胞性線維症(cystic fibrosis,以下CF)が疑われた.便脂肪染色陽性,Sweat試験陽性,遺伝子解析にてCFTR遺伝子変異であるΔF508,Q1042Tfs5Xの複合へテロ変異を認めCFと診断した.進行性の呼吸不全,低栄養により生後7か月で死亡した.日本ではCFの発症者が少なく早期診断は困難だが,乳児期に胆汁うっ滞をきたす可能性があり,肝病理所見が診断に有用であることが示唆された.

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