日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
54 巻 , 1 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
おしらせ
学術集会記録
原著
  • 奥村 健児, 山本 裕俊
    2018 年 54 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    【目的】無脾症候群および多脾症候群(以下本疾患群)は,多様な心血管系の奇形を合併することが多く重症度が高い疾患である.腹腔内臓器の奇形など小児外科疾患を合併することも多い.今回我々は当院で経験した本疾患群における小児外科疾患の治療戦略について検討した.

    【方法】2000年から2015年に当院で経験した44例(無脾症候群32例,多脾症候群12例)について,在胎週数,出生体重,合併心疾患,小児外科疾患と予後について後方視的に検討した.

    【結果】無脾症候群は全例心奇形を合併しており,単心室が28例(87.5%)で最多であった.小児外科疾患は14例(43.8%)に合併しており,腸回転異常症2例,胃軸捻転3例(1例に腸回転異常症合併),壊死性腸炎1例,先天性十二指腸閉鎖症1例,腸回転異常症を伴う食道裂孔ヘルニア1例の計8例に手術を施行した.多脾症候群も全例に心奇形を合併しており,下大静脈欠損が6例(50%)で最多であった.小児外科疾患は1例(8.3%)に腸回転異常症と先天性十二指腸閉鎖症を合併しており,手術を施行した.最終的な予後は無脾症候群が生存率46.9%,多脾症候群が75%であった.小児外科疾患が予後に関連したと考えられる症例は中腸軸捻転症合併の1例のみであった.

    【結論】本疾患群は重症心奇形を合併することが多く予後の悪い疾患グループである.合併する小児外科疾患に関しては消化管検査が望ましい.予定手術の際の手術時期は,個々の心疾患の重症度および進行度に応じて慎重に検討する必要がある.

  • 大倉 隆宏, 中原 康雄, 片山 修一, 福井 花央, 人見 浩介, 後藤 隆文, 青山 興司
    2018 年 54 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    【目的】我々の施設では,喉頭気管分離術を行う場合Lindeman原法による喉頭気管分離術・気管食道吻合を行っている.その後に発症し得る気管腕頭動脈瘻(以下本症と略す)を予防するための方策として,術後に頸部造影CTを撮像してカニューレ先端の位置を調整する方法を選択している.今回,我々の本症予防策の有用性について検討し,報告する.

    【方法】2006年4月より2015年12月までに当科で喉頭気管分離術を施行し,上述の方針で管理を行った39例を対象とした.頸部造影CT所見に基づき,①A群:カニューレ先端が交叉部よりも頭側に位置するもの,②B群:先端と交叉部がほぼ接しているもの,③C群:先端が交叉部を越え,尾側に位置するもの,の3群に分類した.高リスクと考えられるB群症例に対する対応,本症発症の有無と発症例における発症要因について,後方視的に検討した.

    【結果】全39例の初回CT所見は,A群13例,B群12例,C群14例であった.B群の12例に対しては,短いカニューレに変更する(6例),カニューレを浅くする(5例),カニューレを抜去する(1例)として対応した.平均4.5年の経過観察期間中に本症を発症した症例はA群の1例のみであり(2.6%),他施設で他種類のカニューレに変更されていたことが要因であった.

    【結論】喉頭気管分離術後の頸部CT所見に基づき,カニューレと腕頭動脈が接さず,腕頭動脈にカニューレからの物理的な力が加わらない角度に調節することで,本症の予防が可能である.

症例報告
  • 大橋 伸介, 水野 良児, 梶 沙友里, 金森 大輔, 田中 圭一朗, 芦塚 修一, 吉澤 穰治
    2018 年 54 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    虫垂炎手術を契機に発見された虫垂原発神経内分泌腫瘍を経験したので報告する.症例は10歳女児.急性虫垂炎の診断で虫垂切除術を施行した.切除標本の病理検査で虫垂原発神経内分泌腫瘍と診断された.虫垂原発神経内分泌腫瘍は術前診断されることは稀で切除後に病理で診断されることがほとんどである.比較的予後のよい疾患ではあるが,転移・再発の報告もあることから,追加切除の必要性の判断が重要である.漿膜外浸潤,切除断端,脈管浸潤,悪性度(MIB-1 index),および腫瘍径が重要であり,文献的考察を基にそれらを用いた追加切除の適応を判断するためのアルゴリズムを考案した.このアルゴリズムに当てはめ追加切除はせず経過観察中であるが,術後3年4か月経過し再発はしていない.

  • 小川 雄大, 渡邉 稔彦, 前田 健一, 竹添 豊志子, 右田 美里, 高橋 正貴, 大野 通暢, 渕本 康史, 金森 豊
    2018 年 54 巻 1 号 p. 50-53
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    直腸閉鎖は直腸肛門奇形の一型であり稀な疾患である.今回,腹部膨満と繰り返す嘔吐により発症した直腸閉鎖の1例を経験したので報告する.症例は日齢1日の女児,正常分娩で出生し状態は安定していた.生後6時間後の哺乳開始後より腹部膨満と繰り返す胆汁性嘔吐を認め,浣腸を行うためのチューブが経肛門的に直腸内に挿入できなかったため直腸肛門奇形が疑われた.超音波検査により直腸に膜様の盲端を認め,透視検査では肛門からのネラトン挿入により膜の動揺を認めた.以上より直腸膜様閉鎖と診断し,同日1期的に経肛門的根治術を行った.術後2年経過し,肛門機能に異常は認めていない.直腸閉鎖は非常に稀な疾患であり,また閉鎖部位の高さや距離に多様性があるため,正確な診断と適切な処置が必要であると考えられる.

  • 道傳 研太, 崎村 祐介, 古谷 裕一郎, 廣谷 太一, 下竹 孝志
    2018 年 54 巻 1 号 p. 54-58
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    症例は8歳の男児.左腹部痛と腹部膨満を訴えて小児救急外来を受診した.臍左側に超手掌大の巨大腫瘤を触知し,激しい圧痛を認めた.腹部超音波検査,CT,MRIにて下腸間膜動静脈が内部を貫通する多囊胞性腫瘤が描出された.抗菌薬と越婢加朮湯を用いた保存的加療にて腹痛と発熱は消失し,腫瘤の縮小を認めた.入院後25日目に左後腹膜腔を占拠する腫瘍の摘除術を施行し,切除標本から病理学的にリンパ管腫と診断された.本例はリンパ管腫の感染をきたし有痛性の増大をきたしたが,炎症の消退を図ることで腫瘤の縮小が得られ,腹腔鏡下の観察も併用することで小開腹による腫瘤の摘出が可能であった.

  • 大矢 雄希, 内田 皓士, 川端 誠一, 橋本 晋太朗, 三浦 宏平, 磯野 香織, 林田 信太郎, 山本 栄和, 菅原 寧彦, 猪股 裕紀 ...
    2018 年 54 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    症例は7か月の女児.生後68日にて胆道閉鎖症に対して葛西手術を施行するも減黄不十分で肝不全が進行し,母親をドナーとする生体肝移植を施行した.減寸外側区域グラフトを用い,門脈はパッチグラフトで形成した.術後8日目に,浮腫の増悪と急速な腹水増加があり,腹部超音波にて肝内門脈腔は認めるものの血流確認できず本幹に血栓を認めた.そのため,同日に緊急で経皮経肝門脈造影を行い,カテーテルが血栓部位を通過したのちに,上腸間膜静脈から造影すると,肝内門脈は,ほとんど造影されなかった.そのため,7 mm~4 cmのメタルステントの留置を行い,肝内門脈への血流が再開した.その後,低分子ヘパリンによる抗凝固を開始し,ワーファリンに移行した.術後45日で退院となり,術後半年時点での門脈血流は良好である.乳児であり,また術後比較的早期のステント留置で適応に関する議論の余地はあるが,低侵襲で効果的な治療であった.

  • 金川 勉, 河﨑 正裕
    2018 年 54 巻 1 号 p. 64-69
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    患児は,妊娠22週の胎児超音波検査にて膀胱拡大,両側水腎症,妊娠24週羊水過多,妊娠28週腸管拡張を認め,巨大膀胱短小結腸腸管蠕動不全症(megacystis microcolon intestinal hypoperistalsis syndrome:以下MMIHS)が疑われた.出生後の消化管造影検査で腸回転異常,micro colon像を認めた.嘔吐と排尿・排便異常を認めたが,次第に軽快し生後6か月で退院した.生後9か月,水腎症が悪化し左腎盂形成術を施行した.2歳時,胃瘻造設術を施行したが,5歳まで腸閉塞症状は比較的軽く,固形食を経口摂取できていた.6歳時の直腸全層生検では神経節細胞は正常に存在し,MMIHSと確定診断した.その後,腸閉塞症状は徐々に悪化し,6歳10か月時に,中心静脈栄養を導入した.以降,腸閉塞症状の増悪により入退院を繰り返しているが,いずれも保存的加療にて軽快している.胎児超音波検査で尿路閉塞が疑われるにも関わらず羊水過多を認めた場合,MMHISを念頭に置く必要がある.

  • 大場 豪, 山本 浩史
    2018 年 54 巻 1 号 p. 70-74
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    神経芽腫は集学的治療が基本であり,その中心は化学療法である.我々は巨大腫瘤を形成し,oncologic emergencyを呈した進行副腎神経芽腫に対して積極的外科手術を行い,長期生存が得られた1例を経験した.症例は6歳男児.右上腹部の腫瘤に気づき受診,精査で右副腎に14 cmの腫瘤を認めた.腫瘤は下大静脈・大動脈を圧排していた.生検で神経芽腫と診断(病期III,N-myc増幅あり).化学療法を施行したが腫瘍は増大し,肝右三区域切除,腹部大動脈を取り囲む腫瘍摘出,右腎摘出を行った.4か月後に胸部大動脈周囲と左鎖骨上窩リンパ節に転移再発し,超大量化学療法,放射線療法が施行されたが効果なく,摘出術を行った.術後10年経過し再発はなく,無再発生存している.

  • 渡邊 峻, 松寺 翔太郎, 谷 有希子, 山口 岳史, 荻野 恵, 中島 政信, 佐々木 欣郎, 土岡 丘, 加藤 広行
    2018 年 54 巻 1 号 p. 75-80
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    Omegaven®は魚油由来のω3系脂肪酸製剤であり.腸管不全関連肝機能障害(IFALD)への有効性を示されているが,本邦では薬事未承認である.当施設でIFALDを呈した2症例に本製剤を使用した.症例1は小腸閉鎖に対する十二指腸結腸吻合後IFALDをきたした女児で,重篤な腸管不全に加え本製剤の導入も遅く,肝腎不全で死亡した.症例2は超低出生体重児で壊死性腸炎後IFALDをきたした男児で,適切な時期に本製剤を導入し良好な経過を得た.Omegaven®はIFALDの改善に有効だったが,導入後に2症例とも合併症といわれる出血傾向を認めた.本製剤投与により体内のEPA比率が上昇し出血傾向が生じるとされる.肝機能障害や栄養障害を有するIFALDの児では出血傾向の合併が重篤な事態を招きうる.Omegaven®のIFALDへの有用性が知られ使用機会が増えているが,使用にあたり出血傾向の合併症にも留意する必要があると思われた.

  • 神部 浩輔, 高山 勝平, 文野 誠久, 坂井 宏平, 東 真弓, 青井 重善, 古川 泰三, 田尻 達郎
    2018 年 54 巻 1 号 p. 81-84
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    症例は3歳女児.2歳頃から腹部膨満を認め,3歳児健診で精査を勧められ,近医小児科を受診した.超音波検査で腹腔内全体を占拠する囊胞性病変を指摘され,精査加療目的に当科紹介受診となった.MRIでは腹腔内に20×10×22 cmの囊胞性腫瘤を認め,造影CTでは重要血管および隣接臓器への浸潤はなく,大網囊腫および腸間膜囊腫を疑い,手術の方針となった.臍部z切開で開腹し単孔式腹腔鏡で観察したところ,腹腔内は囊胞で占拠され,内容液を吸引した後,大網と連続した囊胞を切離した.病理診断にて大網囊腫と確定診断した.術後半年を経過したが,再発を認めていない.大網囊腫は急性腹症を呈することがあり,無症状でも外科的切除の適応と考えられる.完全切除しえた大網囊腫の再発例の報告はなく,予後は良好である.単孔式腹腔鏡手術は,整容性,侵襲性の点から極めて有用であり,本疾患の外科治療の際には考慮すべき術式であると考えられた.

  • 古賀 義法, 中村 睦, 竜田 恭介, 財前 善雄
    2018 年 54 巻 1 号 p. 85-89
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    11歳男児.家族歴は特になし.激しい間歇的上腹部痛と胆汁性嘔吐を主訴に当科を緊急受診した.口唇,四肢末端の色素沈着なく,精査の結果,小腸重積症と診断し,同日緊急手術となった.回盲部より240 cm口側に小腸重積を認めHutchinson手技で整復した.先進部に腫瘤を触知したため,約4 cm小腸を切除し端々吻合を行った.切除小腸には有茎性の分葉状ポリープを認め,病理診断はPeutz-Jeghers(以下P-J)型ポリープであった.そこで,遺伝子解析を施行したところ,STK11/LKB1遺伝子に変異は認めなかった.また,その後に施行した精査でも,他には明らかなポリープを認めず,P-J症候群は否定的であった.P-J型ポリープはP-J症候群との鑑別が重要である.そのためには遺伝子解析が有用であるが,なかには遺伝子変異がみられない例もあるので,P-J型ポリープと診断しても一定期間の経過観察が必要であると考える.

  • 鰐渕 敦, 西中 一幸, 舛森 直哉
    2018 年 54 巻 1 号 p. 90-95
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    本邦では小児の重複腎盂尿管に伴う膀胱尿管逆流(VUR)に対する膀胱外再建術のまとまった報告はない.今回我々の施設の術式や治療成績について報告する.2010年11月から2014年11月までに重複腎盂尿管に合併したVURに対して膀胱外再建術を施行した症例を後方視的に検討した.対象は3症例(右側2例,左側1例)で,完全型2例,膀胱内粘膜下にて上下半腎尿管が癒合した不完全型1例であった.VURは,完全型2例では下半腎尿管にのみ認め,グレードは国際分類IV度とV度であった.一方不完全型では上下半腎尿管に国際分類III度を認めた.手術は恥骨上1横指に3.5 cmから4 cmの皮膚切開をおき,完全膀胱外にて膀胱尿管新吻合を施行した.周術期合併症は認めず,術後第2日に退院可能であった.観察期間中に発熱性尿路感染症は認めず,腎臓超音波検査では術後3か月以降に水腎症を認めた症例はなかった.

  • 福原 雅弘, 鳥井ケ原 幸博, 古澤 敬子, 中村 晶俊
    2018 年 54 巻 1 号 p. 96-102
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    症例は13歳の男児.1年ほど前から繰り返す腹痛,嘔吐,下血に対して当院小児科で精査が行われたが,確定診断には至らなかった.症状は保存的加療にて数日で軽快していた.その後,多量の吐下血を認めて,当科紹介となった.上部消化管造影検査では,Treitz靭帯の形成を認めず,右上腹部に一塊となった空腸が造影され,同部位で造影剤停滞を認めた.腸回転異常と診断し,同病変が反復する腹痛や消化管出血に関与している可能性を考え,審査腹腔鏡を施行した.空腸は線維性被膜(ヘルニア囊)に覆われ,上腸間膜動脈背側にヘルニア門を認めた.ヘルニア囊を開放すると,十二指腸下行脚はTreitz靭帯を形成せず,ヘルニア囊へ流入していた.以上より腸回転異常症に起因した右傍十二指腸ヘルニアと診断し,腹腔鏡下腸回転異常症根治術(Ladd手術+両側Bill固定)を施行した.診断に難渋し,消化管出血の原因と考えられた本症を経験したので文献的考察を含めて報告する.

  • 鮫島 由友, 浮山 越史, 渡邉 佳子, 宮 弘子
    2018 年 54 巻 1 号 p. 103-107
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    中間位鎖肛と結腸閉鎖の合併例を経験したので報告する.症例は在胎35週3日,2,155 g,自然分娩で出生した女児.胎児エコーで拡張した腸管を指摘されていた.両側合趾と瘻孔のない鎖肛を認めNICUに入院した.待機的人工肛門造設術の方針としたが,出生5時間後と10時間後のX線写真で右下腹部に限局した腸管拡張を認め,消化管閉鎖を疑った.腸管拡張が急激に進行したため,同日緊急手術を施行した.横行結腸の左側1/3付近で離断型の結腸閉鎖を認め,肛門側結腸はmicro colonであった.両盲端を用いて人工肛門を造設した.肛門側結腸の拡張は鎖肛のため生理食塩水で代用した.生後7か月時に仙骨会陰式鎖肛根治術を施行,術中所見および術前の画像所見から中間位鎖肛,直腸膣瘻と診断した.経過良好で1歳時に人工肛門を閉鎖した.経時的な腹部X線検査により鎖肛と結腸閉鎖のまれな合併例に対し適切な手術介入が可能であった.

  • 永薮 和也, 久保田 良浩
    2018 年 54 巻 1 号 p. 108-110
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    急性胃腸炎として小児科に入院していた2か月の乳児が腸重積症と診断され,小児外科コンサルトとなった.6倍希釈ガストログラフィンによる高圧浣腸を行い回盲部より約30 cm口側までは造影剤により容易に描出されたが,圧をあげてもそれ以上描出されなかった.整復不能と判断し,緊急開腹術を施行した.回盲部から約30 cm口側に回腸-回腸型の腸重積症を認め,先進部に腫瘤を触知した.色調の悪い小腸を,腫瘤を含め約8 cm切除した.病理検査の結果,先進部の腫瘤はadenomyomaであった.adenomyomaによる小児腸重積は2016年までに本邦で16例報告されており,生後2か月での発症は最年少であった.文献的考察を加えて報告する.

  • 都甲 さゆり, 井上 真帆, 文野 誠久, 坂井 宏平, 東 真弓, 青井 重善, 古川 泰三, 小関 道夫, 田尻 達郎
    2018 年 54 巻 1 号 p. 111-115
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    症例は3歳,男児.左前縦隔原発悪性胚細胞腫瘍に対して化学療法を施行され,腫瘍縮小後に胸骨正中切開で体外循環下に腫瘍全摘と左腕頭静脈再建を行った.手術当日より乳び胸を認め,食事制限およびオクトレオチド皮下持続投与を行ったが,保存的治療に反応せず,乳び胸水量の著明な増加を認めたため,術後11日目に胸腔鏡下手術を施行した.術前・術中に脂肪負荷を行い,胸管本管損傷部を同定しえたが,クリップによる直接閉鎖が困難であったため,ヒトフィブリノゲン組織接着用シートで圧迫して乳びの漏出停止を確認後,ポリグリコール酸吸収性縫合補強材シートを貼付し,フィブリン糊を散布した.術直後より乳び胸は消失した.術後乳び胸に対する外科治療において,本術式は簡便で低侵襲であり,有効な選択肢になりうると考えられた.

  • 山口 岳史, 西 明, 鈴木 完, 谷 有希子, 土岡 丘, 加藤 広行
    2018 年 54 巻 1 号 p. 116-120
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    十二指腸膜様狭窄症は新生児期~乳児期に通過障害で顕在化することが多いが,学童期に急性膵炎を契機に発見された症例を経験した.症例は7歳女児.腹痛,嘔吐で発症し,精査により急性膵炎と十二指腸膜様狭窄症が診断された.内科的治療により膵炎の症状は消失し退院した.膵炎の発症から1か月半後,endoscopic retrograde cholangiopancreatography(ERCP)を施行した.十二指腸に膜様狭窄を,またそのすぐ口側にVater乳頭を認めた.膵管胆管に形態的異常はなく,十二指腸膜様狭窄の影響で二次性に膵炎を発症したと推測した.発症から2か月後,ERCP,蛋白栓除去,膵管ステント留置,十二指腸膜様部切開(1方向)を施行した.発症から5か月後,内視鏡的に膵管ステントを抜去と同時に,膜様狭窄部の切開が不十分であったと判断し2方向膜様部切開を追加した.その後は良好に経過している.膵炎を契機に発見された十二指腸狭窄症の報告は少なく,また蛋白栓除去と膜様部切開の両方を内視鏡的に施行し得たため報告する.

  • 大山 慧, 福本 弘二, 矢本 真也, 高橋 俊明, 関岡 明憲, 野村 明芳, 山田 豊, 漆原 直人
    2018 年 54 巻 1 号 p. 121-124
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    症例は3歳男児.主訴は右側腹部腫瘤.CT検査にて,右腎臓に約10 cm大の腫瘤を認めた.転移は認めなかったが,下大静脈を圧排し腫瘍も大きく術中の被膜破綻の可能性もあることから一期的切除は行わず,International Society of Pediatric Oncology(SIOP)の治療プロトコールを選択した.術前化学療法を4週間施行した後に,腫瘍は5 cm大へ著明に縮小し,下大静脈への圧排もなくなり,手術を行った.腫瘍の中心は腎下極で,患側腎上部の温存は可能と考え,腎部分切除にて腫瘍を切除した.病理組織所見でも断端は陰性であった.術後化学療法を4週間施行し退院となった.現在,術後2年経過するが,再発は認めず,腎機能も正常である.

  • 三藤 賢志, 高間 勇一, 中村 哲郎, 中岡 達雄, 東尾 篤史, 大野 耕一, 米田 光宏
    2018 年 54 巻 1 号 p. 125-129
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー

    患児は3か月,男児.生後2週頃より嘔吐が出現し,生後3か月の受診時,体重増加不良に加えて,腹部膨満が著明で腹部超音波検査にて多量の腹水を認めた.血液検査にて著明な凝固異常,低蛋白血症を認め,原因不明の急性肝不全として緊急入院となった.血漿交換,持続的血液濾過透析を行い,第6病日に原因検索のため開腹肝生検を施行し,病理組織所見からは囊胞性線維症(cystic fibrosis,以下CF)が疑われた.便脂肪染色陽性,Sweat試験陽性,遺伝子解析にてCFTR遺伝子変異であるΔF508,Q1042Tfs5Xの複合へテロ変異を認めCFと診断した.進行性の呼吸不全,低栄養により生後7か月で死亡した.日本ではCFの発症者が少なく早期診断は困難だが,乳児期に胆汁うっ滞をきたす可能性があり,肝病理所見が診断に有用であることが示唆された.

研究会報告
委員会報告
地方会
研究会
専門医制度に関するお知らせ,指導医名簿,専門医名簿,認定登録医名簿,認定施設名簿
あとがき
feedback
Top