2018 年 54 巻 4 号 p. 917-922
【目的】小腸移植を目的に当院へ紹介された腸管不全患者を対象として,小腸移植の適応について検討する.
【方法】2010年4月から2016年4月までに当院へ小腸移植目的に紹介された患者について,年齢,性別,原疾患,残存腸管長,アラニンアミノトランスフェラーゼ,血清アルブミン値,血中シトルリン値,経静脈栄養の依存度,外科的介入の有無と効果,生命予後,を後方視的に調査した.
【結果】8名(男5例,女3例)の患者が対象となり,年齢中央値は19.0歳(8.9~28.6歳)であった.原疾患は全結腸型無神経節症(n=1),慢性特発性腸管偽閉塞症(n=2),短腸症候群(n=5)であり,短腸症候群の原疾患は上腸間膜動脈閉塞症,小腸移植片拒絶,壊死性腸炎,腸回転異常症,潰瘍性大腸炎及び原発性硬化性胆管炎であった.6名は小腸移植の適応と判断し日本臓器移植ネットワーク脳死移植登録(以下移植登録)の方針となり,うち1名は実際に脳死小腸移植を施行した.他の1名は登録中に腸管狭窄に対してバルーン拡張術を実施したところ,移植適応とされた難治性下痢が改善し登録解除となった.非登録の2名は腸管延長・形成術を施行した.対象患者のうち2名(25%)(共に移植登録症例)が死亡しており,共に感染を契機に肝機能増悪が急速に進行した.生存例の残存小腸中央値は40.0 cm(30.0~65.0 cm)で,死亡例は7.5 cm(3.8~11.3 cm)であった.
【結論】小腸移植の適応を検討する項目としては,残存腸管長及び肝機能が特に重要であり,これらの基準に基づき小腸移植を施行決定する必要がある.