日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
症例報告
腸重積手術後に下血が続いたために発見された潰瘍性大腸炎の1例
奥山 直樹村田 大樹内山 昌則
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 54 巻 4 号 p. 923-926

詳細
抄録

13歳男児,1か月前からの血便と2日前からの腹痛を訴え,前医を受診しCTにて腸重積(回腸-結腸型)と診断され当科へ紹介となった.CTにて先進部となる腫瘤性病変を認め,更に腹痛発症から2日経過していたので観血的整復術を選択した.重積腸管に腸管壊死がなくHuchinson手技で整復できた.先進部は径20 mmの腸間膜リンパ節(以下LN)であり,終末回腸の腸間膜に複数認めた.第1病日より血便を認めた.エコーにて腸重積の再発は否定され,第4病日に大腸内視鏡にて盲腸から直腸まで結腸全体に強い炎症所見を認め潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)と診断された.腸重積症は通常1歳未満の乳児に発生し,6歳以上の年長児での発生はまれである.年長児の腸重積は先進部となる器質的病変を有する場合が多いとされるが,潰瘍性大腸炎に併発した腸重積の報告はまれであり,調べ得た限り小児報告例はなかった.

著者関連情報
© 2018 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top