日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
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おしらせ
原著
  • 野口 侑記, 上野 豪久, 田附 裕子, 樋渡 勝平, 児玉 匡, 梅田 聡, 阪 龍太, 高間 勇一, 山中 宏晃, 奥山 宏臣
    2018 年 54 巻 4 号 p. 917-922
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー

    【目的】小腸移植を目的に当院へ紹介された腸管不全患者を対象として,小腸移植の適応について検討する.

    【方法】2010年4月から2016年4月までに当院へ小腸移植目的に紹介された患者について,年齢,性別,原疾患,残存腸管長,アラニンアミノトランスフェラーゼ,血清アルブミン値,血中シトルリン値,経静脈栄養の依存度,外科的介入の有無と効果,生命予後,を後方視的に調査した.

    【結果】8名(男5例,女3例)の患者が対象となり,年齢中央値は19.0歳(8.9~28.6歳)であった.原疾患は全結腸型無神経節症(n=1),慢性特発性腸管偽閉塞症(n=2),短腸症候群(n=5)であり,短腸症候群の原疾患は上腸間膜動脈閉塞症,小腸移植片拒絶,壊死性腸炎,腸回転異常症,潰瘍性大腸炎及び原発性硬化性胆管炎であった.6名は小腸移植の適応と判断し日本臓器移植ネットワーク脳死移植登録(以下移植登録)の方針となり,うち1名は実際に脳死小腸移植を施行した.他の1名は登録中に腸管狭窄に対してバルーン拡張術を実施したところ,移植適応とされた難治性下痢が改善し登録解除となった.非登録の2名は腸管延長・形成術を施行した.対象患者のうち2名(25%)(共に移植登録症例)が死亡しており,共に感染を契機に肝機能増悪が急速に進行した.生存例の残存小腸中央値は40.0 cm(30.0~65.0 cm)で,死亡例は7.5 cm(3.8~11.3 cm)であった.

    【結論】小腸移植の適応を検討する項目としては,残存腸管長及び肝機能が特に重要であり,これらの基準に基づき小腸移植を施行決定する必要がある.

症例報告
  • 奥山 直樹, 村田 大樹, 内山 昌則
    2018 年 54 巻 4 号 p. 923-926
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー

    13歳男児,1か月前からの血便と2日前からの腹痛を訴え,前医を受診しCTにて腸重積(回腸-結腸型)と診断され当科へ紹介となった.CTにて先進部となる腫瘤性病変を認め,更に腹痛発症から2日経過していたので観血的整復術を選択した.重積腸管に腸管壊死がなくHuchinson手技で整復できた.先進部は径20 mmの腸間膜リンパ節(以下LN)であり,終末回腸の腸間膜に複数認めた.第1病日より血便を認めた.エコーにて腸重積の再発は否定され,第4病日に大腸内視鏡にて盲腸から直腸まで結腸全体に強い炎症所見を認め潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)と診断された.腸重積症は通常1歳未満の乳児に発生し,6歳以上の年長児での発生はまれである.年長児の腸重積は先進部となる器質的病変を有する場合が多いとされるが,潰瘍性大腸炎に併発した腸重積の報告はまれであり,調べ得た限り小児報告例はなかった.

  • 山田 耕治, 渋井 勇一, 渡部 祐司
    2018 年 54 巻 4 号 p. 927-934
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー

    Swyer-James症候群(SJS)は胸部単純X線上一側肺または肺葉の透過性亢進と肺血管影減少を特徴とする稀な症候群であるが,CTの発達により両側肺やまだら状病変の報告も増加している.今回胸腔鏡補助下左肺切除術を施行した両側SJSの男児例を経験した.症例は7歳男児.幼児期から肺炎・気管支炎反復,喘息,左肺尖部囊胞感染の既往あり,当科を紹介受診.CTで左肺上葉全体の気腫と多発囊胞,左肺下葉の完全無気肺,右肺全体の膨張とまだら状気腫,左肺上葉末梢気管支途絶と左肺動静脈の狭細化を認め,SJSと診断.囊胞再感染や無気肺内シャント血流による換気障害を考慮し,胸腔鏡補助下で左肺上葉部分切除および下葉切除術を施行,術後15日目に退院し,10か月後まで気道感染での再入院はない.幼少期から気道感染を繰り返す症例ではSJSの発症を念頭に置く必要があり,囊胞形成に伴う感染や呼吸機能障害を来した場合は,小児でも肺切除を考慮すべきである.

  • 河原 仁守, 尾藤 祐子, 會田 洋輔, 橘木 由美子, 中井 優美子
    2018 年 54 巻 4 号 p. 935-941
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー

    症例は11歳,女児.8歳頃より嘔吐を認め,10歳過ぎても食後の嘔吐が持続するため精査された.食道造影検査で造影剤の排泄遅延を認め,高解像度食道内圧検査で下部食道括約筋の積算弛緩圧が63.8 mmHgと高値を示し食道アカラシアと診断された.術前のEckardt scoreは6点であった.食道アカラシアに対する新しい治療方法で,成人領域では良好な治療成績を認めている経口内視鏡的筋層切開術(POEM)を施行した.食道体部後壁5時方向に粘膜下トンネルを作製し,次いで外縦筋は温存して,全長16 cmにわたり選択的に内輪筋の切開を行った.術後は速やかに自覚症状が消失し,Eckardt score 0点,積算弛緩圧17.7 mmHgと改善した.術後1か月間はPPIを投与した.術後3か月経過し,上部消化管内視鏡検査ではLos Angeles分類Aの軽度の食道炎を認めるが,逆流症状はなく2㎏の体重増加が得られ良好に経過している.

  • 野口 侑記, 山中 宏晃, 田附 裕子, 樋渡 勝平, 児玉 匡, 奥山 宏臣
    2018 年 54 巻 4 号 p. 942-945
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー

    臍ヘルニア修復術において,臍下縁弧状皮膚切開法は余剰皮膚が多い症例や臍の輪郭の大きい症例では陥入が不十分になり,満足度が得られにくい.そこで,今回女児2例(うち1例は尿膜管遺残合併のため同時手術),男児1例の臍ヘルニアに対して以下の術式で臍形成を施行した.手術方法:臍下縁弧状皮膚切開後,ヘルニア囊を切除しヘルニア門の修復を行う.臍底部の余剰皮膚を環状に切除後,皮膚欠損孔を巾着縫合で閉鎖して,腹直筋前鞘へ固定.本術式は,複雑な皮膚切開を必要とする従来法に比べて簡単かつ短時間で施行でき,形成した臍の術後形態も良好であった.また,尿膜管遺残を併発した症例に対しては,尿膜管の切除と同時に臍ヘルニアの根治も施行することが可能であった.さらに術後に弧状切開-環状切除間組織への血流障害が懸念されたが,2か月以上経過しても皮膚のトラブルは認められなかった.

  • 野口 侑記, 吉田 洋
    2018 年 54 巻 4 号 p. 946-950
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー

    腸間膜裂孔ヘルニアはヘルニア囊がなく,腸間膜の欠損部から腸管が脱出して生じる.消化管閉塞,絞扼による腸管壊死を起こす可能性もあり,開腹による検索が確定診断をする唯一の方法である.今回,特に既往のない7歳女児の巨大な腸間膜裂孔による内ヘルニアからの絞扼性イレウス症例を経験したので報告する.持続する腹痛・嘔吐,588 mg/dlの高血糖から糖尿病性ケトアシドーシスが疑われ紹介となったが,造影CTで内ヘルニアによる絞扼性イレウスの診断となり緊急手術の方針となった.術中所見では回腸末端から口側235 cmにかけての腸管が直径約15 cmを超える小腸間膜裂孔に内ヘルニアを起こしており,脱出した腸管全体が壊死している状態であった.回盲部を含めた小腸部分切除(235 cm)を施行し,残存小腸は150 cmであった.術後早期には下痢便が頻回に認められていたが,便性も排便回数も徐々に改善した.その後,成長障害はみられず順調に経過している.

  • 野村 明芳, 福本 弘二, 矢本 真也, 高橋 俊明, 仲谷 健吾, 大山 慧, 関岡 明憲, 山田 豊, 漆原 直人
    2018 年 54 巻 4 号 p. 951-955
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー

    症例は16歳,21トリソミーの男児.在胎32週,1,563 gで出生,生後12日にapple peel型の離断型十二指腸閉鎖,輪状膵に対し十二指腸空腸吻合術,4歳時に膵・胆管合流異常に対し肝外胆管切除・肝門部肝管空腸吻合を施行した.14歳時に頻回の胆管炎,肝内胆管の多発結石を認めたため肝管空腸吻合部狭窄を疑い手術を施行したが吻合部狭窄は認めず,肝内胆管結石を除去した後,肝門部でより大きな吻合口の肝管空腸再吻合術を施行した.しかし16歳時に再度頻回の胆管炎,肝障害を認めるようになった.CT,MRIでは原因が同定できなかったが,胆道シンチグラフィー検査にて挙上空腸内の胆汁うっ滞を認め,それが胆管炎の原因と診断した.前回再建時より過長となった挙上空腸を短くし,挙上空腸と十二指腸に側側吻合を作成した.術後は胆管炎もなく肝機能も正常化し良好である.胆道再建後の長期フォロー中における胆管炎の原因として挙上空腸の胆汁うっ滞も念頭に置くべきである.

  • 日野 祐子, 岡村 かおり, 田口 匠平, 有馬 透, 財前 善雄
    2018 年 54 巻 4 号 p. 956-960
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー

    症例は11歳男児.持続する右陰囊腫大があり,前医で陰囊水腫を疑われ当科を受診.水腫ではなく,右精巣腫瘤(45×25×23 mm,弾性硬)を認めた.超音波検査で右精巣実質内に小囊胞の塊状集簇を,MRIで同部位に多房性囊胞性病変を認め,さらに右腎無形成と左腎の代償性腫大も認めた.部位や形態,特徴的な尿路奇形からcystic dysplasia of the rete testis(以下CDRT)を疑い,腫瘤核出術を行った.摘出標本の病理組織所見でも,CDRTに一致する所見であった.CDRTの定義は明確になっておらず,報告例も少ない.精巣網由来の病変のため術後精子輸送能障害が懸念されるが,本例では腫瘤核出術を選択したことで,ホルモン産生能の温存は期待できると考えられた.術後2年半経過した現時点で再発を認めていないが,再発に留意したフォローが必要と考える.

  • 中村 睦, 竜田 恭介, 古賀 義法, 財前 善雄
    2018 年 54 巻 4 号 p. 961-965
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー

    症例は日齢0の男児.在胎24週3日に超音波検査で臍帯ヘルニアを指摘された.在胎35週2日に経膣分娩で出生し,臍帯ヘルニアに対してサイロ造設術を施行した.ヘルニア囊内には陳旧性の胎便,微細石灰化及び著明な腸管癒着を認めたが,穿孔部位は特定できず,胎便の漏出も見られなかったため,穿孔は自然閉鎖したものと判断した.術後にサイロ縫縮を行ったが,日齢4にサイロ内に胆汁様排液を認めた.消化管の再穿孔を疑い,日齢6に手術を行ったところ,Meckel憩室穿孔を認めた.憩室を楔状切除し,再度サイロを造設した.術後経過は問題なく,日齢13に腹壁閉鎖術を施行した.臍帯ヘルニアにMeckel憩室穿孔を合併することは極めて稀である.さらに本症例では胎児期に穿孔したのちに穿孔部が閉鎖し,新生児期に再穿孔を起こしたと考えられる特殊な病態であったと考えられるため,文献的考察を加えて報告する.

  • 藤雄木 亨真, 田中 裕次郎, 川嶋 寛, 出家 亨一, 鈴木 啓介, 天野 日出, 森田 香織
    2018 年 54 巻 4 号 p. 966-972
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー

    症例は38週4日,3,140 g,仮死なく出生した男児で,ミルク哺乳を開始後,胆汁性嘔吐を認め当院搬送,生後0日で緊急手術となった.小腸中部で小腸閉鎖症(IIIa型)を認め,器械吻合にて再建した.術後4日目にミルクを開始し排便も良好であったが,術後10日目に哺乳不良,嘔吐,単純レントゲンで結腸の拡張を認めた.浣腸を開始し,排便は安定し嘔吐も見られず哺乳も良好になったため退院,外来経過観察とした.浣腸で排便を認めていたが,腹部膨満と単純レントゲンで結腸拡張が徐々に悪化したため,造影検査を予定していたが,日齢52に発熱し,感染性腸炎にて入院した.造影検査にてS状結腸にcaliber changeを認め,直腸粘膜生検でHirschsprung病と診断した.洗腸にて排便コントロールを行い体重増加を待ち,月齢4,体重7.1 kgの時点で腹腔鏡下Soave–伝田法を施行した.術後経過は良好である.

  • 嵯峨 謙一, 遠藤 耕介, 宮内 雄也, 佐藤 正人
    2018 年 54 巻 4 号 p. 973-977
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー

    今回,我々はメッケル憩室の茎捻転を原因とした急性腹症を呈し,緊急手術を行った2例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例1:7歳男児.嘔吐と右下腹部痛を主訴に前医を受診した.CTで虫垂近傍に液体貯留を認め,穿孔性虫垂炎による膿瘍形成が疑われ当院に搬送された.腹腔鏡で観察すると,虫垂に炎症を認めなかったが,近傍に茎部で270度捻転したメッケル憩室を認めた.臍部ポート創部を延長し,メッケル憩室を体外に誘導し,小腸部分切除を行った.症例2:6歳男児.嘔吐,腹痛を主訴に当院に搬送された.CTで空腸が拡張しており,内ヘルニアを疑い緊急手術となった.開腹すると,メッケル憩室が540度茎捻転を起こしていた.捻転を解除した後,小腸部分切除術を行った.メッケル憩室の捻転は稀な病態であるが急性腹症の鑑別診断として考慮すべき病態である.

  • 坂井 幸子, 久保田 良浩, 加藤 久尚, 森 毅, 清水 智治, 谷 眞至
    2018 年 54 巻 4 号 p. 978-984
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー

    症例は在胎30週4日,812 gで出生した女児.日齢36に壊死性腸炎を発症,日齢44に消化管穿孔に対して開腹術を施行し,壊死小腸を切除して残存小腸は約50 cmとなった.術後11日目に母乳を再開し順調に増量できたが,日齢90頃より下痢便が出現,乳糖不耐症を疑いMA-1®へ変更し改善した.日齢123に血便,腹部膨満,CRP上昇を認め,消化管アレルギーを疑いエレメンタルフォーミュラ®へ変更したが改善せず,1週間絶食後に経腸栄養を再開したが腸管ガス貯留が持続し,腸内細菌異常増殖症(small intestinal bacterial overgrowth;SIBO)を疑いmetronidazoleの投与を開始した.数日後には腸管ガスの著明な減少を認め,経腸栄養再開後も症状の再燃は認めなかった.本症例では未熟性による腸管蠕動不良,壊死性腸炎,消化管アレルギーなどの要因が加わりSIBOを発症したと考えられた.

  • 千葉 史子, 田中 秀明, 増本 幸二
    2018 年 54 巻 4 号 p. 985-988
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー

    ストーマ脱出はストーマ造設後に経験される比較的多い合併症である.治療としてストーマ再造設,腸管の固定などの侵襲的処置が行われることもあるが,小児では一時的なストーマであることも多く,保存的加療が望まれることもある.今回我々はストッキングを使用した装具を作製し,ストーマ脱出を良好に管理できた症例を経験したので報告する.症例は2生月男児.13トリソミー,Fallot四徴症を合併し,出生後,hypoganglionosisに対し空腸瘻を造設していた.心不全があり,術後2か月間人工呼吸器管理を行っていたが,抜管後にストーマ脱出を来した.ストッキングを貼付したストーマ装具を使用し,ストーマ再造設を行うまで愛護的かつ保存的に腸管脱出を防止,管理し得た.ストッキングをパウチに貼付する本法は装具の作製が容易で,かつ安価であり,ストーマ脱出の管理において有用な対処法となると考えられた.

  • 井深 奏司, 合田 太郎, 奈良 啓悟, 曹 英樹, 臼井 規朗
    2018 年 54 巻 4 号 p. 989-993
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー

    我々は,術前検査により先天性限局性腸管拡張症と診断し,手術を施行した新生児例を経験したので報告する.症例は在胎39週6日,3,042 gで出生した男児.胎児超音波検査で異常は指摘されていなかった.出生後より哺乳が緩慢で,体重減少と腹部膨満の増悪を認め,腹部レントゲン検査で右上腹部に著明な拡張腸管像と大腸に腸管ガスを認め腸閉鎖症は否定された.上部消化管造影検査で空腸上部に拡張腸管は造影されず,注腸検査では結腸全長が正常径を示し拡張腸管は造影されなかった.また,拡張腸管内に減圧目的に留置したチューブは,翌日には先端が拡張腸管を越えて肛門側の正常腸管まで到達した.以上から,術前に先天性限局性腸管拡張症と診断し,拡張腸管切除術を施行した.術後経過良好で,術後14日目に退院した.先天性限局性腸管拡張症は稀な疾患であるが,本症例では術前に診断できたことで,十分な準備の下に外科治療を行うことが可能となった.

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