2018 年 54 巻 5 号 p. 1089-1095
症例は12歳男児.8歳時に網膜血管腫を指摘され,von Hippel-Lindau病の診断に至った.経過観察中症状は認めなかったが,腹部超音波検査で右副腎腫瘍を認め,当科紹介となった.精査にてカテコラミンが高値であり,右副腎と左後縦隔に腫瘍を認め,右副腎褐色細胞腫及び左縦隔交感神経節傍神経節腫の診断となった.摘出術では両腫瘍ともに一時的な血圧上昇は認めたものの,鏡視下に安全に摘出可能であり,病理では悪性所見を認めなかった.文献的にはvon Hippel-Lindau病に伴う褐色細胞腫では両側及び副腎外発生が多く悪性が少ない.また,他の腹部臓器を含めた全身に腫瘍が同時性及び異時性に好発することが報告されており,これらを考慮した経過観察や治療法の選択が必要であると思われた.