日本小児外科学会雑誌
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おしらせ
秋季シンポジウム記録
原著
  • 吉田 真理子, 小西 健一郎, 中原 さおり
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1050-1055
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    【目的】当科では低出生体重児の小腸瘻管理において,栄養障害,肝障害,肛門側腸管の廃用性萎縮等を予防するために,肛門側腸管へチューブを留置してほぼ全量の腸液注入を行ってきた.また,最近ではより簡便に注入を行うために分離式腸瘻造設を行っている.今回,小腸瘻肛門側腸管への腸液注入の有用性について,チューブ留置および分離式腸瘻に注目し,検討した.

    【方法】2014年1月から2015年12月までに当科で小腸瘻肛門側腸管へ腸液注入を行った低出生体重児7例を対象とし,診療録を基に後方視的に検討した.

    【結果】原疾患は壊死性腸炎4例,胎便関連腸閉塞2例,限局性消化管穿孔1例であった.腸瘻造設部位は空腸4例,回腸3例,形態は2連銃式,分離式各3例,ループ式1例であった.術後20~92日に肛門側腸管へチューブを留置し,1~3時間毎に口側腸瘻からの排液をほぼ全量注入した.分離式では2連銃式と比べてチューブの固定,腸液の回収,パウチの交換を確実・容易に行うことができた.注入開始後に全例で一日平均体重増加量,肝機能障害のあった4例全例で肝機能が改善した.腸液注入,チューブ留置,分離式腸瘻に直接関連する合併症はなかった.20~149日間の腸液注入を行った後に腸瘻閉鎖術を施行した.口側・肛門側腸管の口径比は1.4~2.2:1であった.

    【結論】低出生体重児の肛門側腸管への腸液の全量注入は一日平均体重増加量の改善に有用であったと考えられた.また,チューブ留置および分離式腸瘻造設により,腸液注入をより安全,容易かつ効果的に行うことができた.今後さらに症例を重ね,最善の注入内容・方法を確立したい.

  • 吉澤 一貴, 望月 響子, 大澤 絵都子, 臼井 秀仁, 武 浩志, 北河 徳彦, 新開 真人
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1056-1064
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    【目的】Hirschsprung病(H病)根治術後5年目の臨床的排便機能を各根治術式別に調査した.

    【方法】1991年から2010年に出生し当院で根治術を行ったH病患児105例を対象とし,無神経節腸管の長さでshort type(SHORT),long type(LONG),およびtotal type(TOTAL)に分け,根治術式で以下のように群分けした.SHORT 84例はTAEPT群(T群)51例と開腹Soave群(開腹S群)26例,開腹Duhamel群(開腹D群)7例に,LONG 11例はSoave群(S群)6例とDuhamel群(D群)5例に,TOTAL 10例はS群2例とD群2例,Martin群(M群)6例に分けた.直腸肛門機能研究会の臨床的排便機能評価スコアを参考に根治術後5年目の臨床的排便機能(便失禁,汚染,便回数,便秘,便意)について診療録を用いて後方視的に調査した.

    【結果】SHORTでは各排便機能の有意な差は群間になかったが,T群と開腹S群ではD群に比べ汚染が多い傾向を,開腹D群は便秘傾向を認めた.LONGでは両群間に差はなかった.TOTALではS群は「便失禁」,「汚染」,「便回数」の各項目で他群より点数が低い傾向にあった.

    【結論】術後5年目の時点ではSoave法は汚染の傾向が,Duhamel法は便秘の傾向があったが有意ではなかった.さらなる症例の集積と長期フォローアップにより,H病根治術式の特徴を把握し,病型ごとに適切な術式選択と排便管理を行うことがQOL向上に重要である.

  • 三藤 賢志, 上原 秀一郎, 米田 光宏, 中岡 達雄, 東尾 篤史, 塚崎 雪乃, 西本 聡美, 中村 哲郎
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1065-1070
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    【目的】巨大囊胞性胎便性腹膜炎(giant cystic meconium peritonitis: GCMP)は,出生直後より腹腔内の炎症性変化が強く,しばしば治療に難渋する.我々は多期的手術を基本方針としているが,今回,その妥当性を検証するために当院での症例を後方視的に検討した.

    【方法】2000年から2015年に当院で加療されたGCMP 6例を対象とし,初回手術術式により腸瘻群とドレナージ群の2群に分け,その特徴を比較した.

    【結果】腸瘻群4例,ドレナージ群2例で,腸瘻群の1例を除いて出生前診断は胎便性腹膜炎であった.在胎週数,出生体重中央値はそれぞれ腸瘻群35.5週(34~38週),2,647 g(2,526~2,777 g),ドレナージ群34週(31, 37週),2,551 g(2,397, 2,705 g)であった.ドレナージ群で手術時間は短く,出血量は少なかった.一方,術後栄養開始時期は腸瘻群で早い傾向であった.腸瘻群では全例2期的に手術され,ドレナージ群では1例が2期的,1例は3期的に手術された.両群ともに初回手術から最終手術までの期間は30日以上であった.合併症は腸瘻群で再手術を要した腹壁瘢痕ヘルニア1例,保存的に改善した吻合部狭窄1例で,ドレナージ群で保存的に改善した肝機能障害2例であった.全例生存退院し,観察期間中央値は37.5か月(16~186か月)で,21トリソミー合併の1例を除いて,精神身体発育は良好であった.

    【結論】GCMPに対し,初回に腸瘻造設またはドレナージを行い,30日以降に根治手術を行う多期的手術で良好な結果を得た.GCMPにおける多期的手術は妥当と考えられた.

  • 原田 篤, 芦塚 修一, 梶 沙友里, 金森 大輔, 吉澤 穣治, 大木 隆生
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1071-1075
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    【目的】脳室腹腔内シャントチューブ(以下VPシャント)留置中に発症した小児鼠径ヘルニアに対して腹腔鏡下ヘルニア修復術(laparoscopic percutaneous extra-peritoneal closure;以下LPEC)を実施したので,Potts法と比較してその結果を報告する.

    【方法】小児のVPシャント留置中に発症した鼠径ヘルニアに対して,2006~2010年にPotts法で修復した9例(男児7例,女児2例)と2011~2017年にLPECを施行した9例(男児6例,女児3例)を対象として,患者背景,両側発症率,術後再発率,シャント関連合併症について比較検討を行った.

    【結果】両側の鼠径ヘルニア修復術を施行したのは,LPEC群は7例(78%),Potts群は6例(66%)であった.LPEC群において3例(33%)に腹腔内の癒着や腹膜の肥厚を認めた.術後再発はLPEC群には認めなかったが,Potts群に再発を1例認めた.また1例では腹腔内の癒着とS状結腸の膨満によりLPECからPotts法へ変更した.術後のシャント関連合併症は両群共に認めなかった.

    【結論】VPシャント留置中の小児例に対するLPECはPotts法と比較し術中・術後合併症や術後再発もなく安全に施行可能であった.ただし体重3 kg以下の症例や,腸管の癒着や高度拡張が疑われる症例,また腹膜の肥厚が高度で精巣動静脈や精管の同定が困難な症例に関しては慎重な術式選択が必要である.

  • 山本 眞弓, 植村 貞繁, 吉田 篤史, 久山 寿子
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1076-1080
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    【目的】低年齢漏斗胸患者の術後再発を検討するため,8歳未満でNuss手術を施行した患者の長期の胸郭形態を評価し,客観的な再発の有無を検討した.

    【方法】8歳未満でNuss手術を受け,かつ10歳未満でバー抜去された症例で,抜去後5年以上の経過観察を行うことができた36例(男児28例,女児8例)を対象とした.胸部X線写真の側面像から,胸骨下端部で胸骨後面~椎体後面の距離,椎体の高さを計測し,vertebral index(VI)を算出した.計測は,抜去前,抜去直後,抜去後1年,3年,5年の値を評価した.また,抜去後5年の患者と同年齢の12~14歳術前漏斗胸患者57例(男児43例,女児14例)で術前VI値を計測し,抜去後5年のVI値と比較した.

    【結果】36例の初回手術時平均年齢は5.6歳,バー抜去時平均年齢は8.0歳であった.VIの平均値は,抜去前:20.4,抜去直後:23.3,抜去後1年:24.4,3年:26.8,5年:28.3であった.抜去直後と抜去1年の比較では有意な変化は認めないが,直後と3年,5年ではそれぞれ有意差な変化を認めた.術前患者57例の平均年齢は13.03歳,VIの平均値は34.8であり,抜去後5年時のVIと比較すると有意に高かった.しかし,36例中12例が同年齢の術前VI値の-1 SDより高い値であった.

    【結論】10歳未満でバーが抜去された症例は,5年後には有意にVIは大きくなった.5年経過例のうち33.3%で術前漏斗胸患者と同等のVI値であり,再発と考えられる.

  • 正畠 和典, 當山 千巌, 塚田 遼, 東堂 まりえ, 岩崎 駿, 安部 孝俊, 山道 拓, 村上 紫津, 曹 英樹, 臼井 規朗
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1081-1088
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    【目的】当施設で経験したGross A型食道閉鎖症の治療成績から,治療法の選択と問題点について検討する.

    【方法】1982~2017年までに治療を施行したGross A型食道閉鎖症12例を対象とした.症例の背景,食道延長法とその期間,根治術の時期,術後合併症,転帰を後方視的に検討した.

    【結果】男児7例,女児5例で,在胎週数は中央値38.1週(26.4~41.6週),出生体重は中央値2,111 g(746~3,130 g)であった.3例に先天性心疾患を,1例に十二指腸閉鎖と鎖肛を,1例に先天性食道狭窄を合併していた.染色体異常は1例に18トリソミーを,1例に6q-症候群を認めた.生直後のgapの中央値は4.5椎体(3~7椎体)であった.食道延長は6例にHoward法,3例に木村法,1例にFoker法を行い,1例は食道延長が不要であった.18トリソミーの症例は,胃瘻と頸部食道瘻を造設し食道吻合術は行わなかった.食道延長期間の中央値は127日(15~337日)で,食道延長に伴う合併症はHoward法の1例で下部食道損傷を,木村法の2例で反回神経麻痺を認めた.11例で中央値5.5か月(0.8~14.5か月)に食道吻合術が行われ,全例自家食道による再建が可能であった.10例に術後吻合部狭窄を認めて食道バルーン拡張を施行したが,2例は難治性吻合部狭窄をきたし,食道狭窄部切除再吻合によって食道狭窄症状の著明な改善が得られた.

    【結論】食道吻合術を行った全例において自家食道による再建が可能であった.難治性吻合部狭窄症に対しては,食道狭窄部切除再吻合術も検討すべき治療法の一つと考える.

症例報告
  • 三瀬 直子, 菱木 知郎, 齋藤 武, 照井 慶太, 光永 哲也, 中田 光政, 吉田 英生
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1089-1095
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    症例は12歳男児.8歳時に網膜血管腫を指摘され,von Hippel-Lindau病の診断に至った.経過観察中症状は認めなかったが,腹部超音波検査で右副腎腫瘍を認め,当科紹介となった.精査にてカテコラミンが高値であり,右副腎と左後縦隔に腫瘍を認め,右副腎褐色細胞腫及び左縦隔交感神経節傍神経節腫の診断となった.摘出術では両腫瘍ともに一時的な血圧上昇は認めたものの,鏡視下に安全に摘出可能であり,病理では悪性所見を認めなかった.文献的にはvon Hippel-Lindau病に伴う褐色細胞腫では両側及び副腎外発生が多く悪性が少ない.また,他の腹部臓器を含めた全身に腫瘍が同時性及び異時性に好発することが報告されており,これらを考慮した経過観察や治療法の選択が必要であると思われた.

  • 福井 花央, 片山 修一, 後藤 隆文, 中原 康雄, 大倉 隆宏, 人見 浩介, 青山 興司
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1096-1100
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    卵巣広汎性浮腫massive ovarian edema(以下MOE)は正常の卵胞構造を有したまま,間質の浮腫により卵巣腫大を呈するまれな病態である.我々は女児に発症したMOEの2例を経験したので報告する.症例1は9歳,女児.主訴は食思不振,嘔吐,腹部腫瘤.下腹部正中から右側に,10 cm大の腫瘤を認めた.MRIで骨盤内腫瘤の被膜下にMOEに特徴的な所見であるネックレスサインと呼ばれる多数の小囊胞構造を認めた.術中所見では右卵巣が捻転しており,腫瘍や壊死の可能性を考え付属器切除術を施行した.症例2は4歳,女児.主訴は腹痛,嘔吐.MRIでネックレスサインを認めた.画像,臨床経験から術前にMOEと診断し,腹腔鏡下右卵巣捻転解除術および固定術を施行した.女児の急性腹症ではMOEの可能性を念頭におくべきである.

  • 石川 暢己, 服部 昌和, 大浜 和憲, 冨士根 明雄
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1101-1105
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    排膿散及湯は排膿作用および抗炎症作用をもち,小児外科分野では肛門周囲膿瘍に有用とされている.また慢性化した場合には創傷治癒作用のある十全大補湯が適していると考えられている.症例は7歳男児.超低出生体重児で,乳児期に症候性てんかんや痙性四肢麻痺を発症して経口摂取が困難となり,5歳時に胃瘻を造設した.造設後,胃瘻周囲皮膚炎を繰り返し軟膏や皮膚保護剤などで対応していたが,7歳頃から増悪し,7歳5か月時の腹部CT検査で腹壁膿瘍を認めたため,排膿散及湯(0.3 g/kg/day)を開始した.1か月間で浸出液は減少し皮膚炎も軽快し,その後十全大補湯(0.3 g/kg/day)へ変更して加療したところ肉芽も縮小し,漢方治療開始から4か月後の腹部CT検査では腹壁の腫脹が著明に改善し,皮膚炎も治癒した.今回我々は,胃瘻周囲皮膚炎から腹壁膿瘍を形成し治療に難渋した重症心身障がい児に対して排膿散及湯および十全大補湯を投与して良好な結果を得たので報告する.

  • 森口 智江, 川野 孝文, 大西 峻, 山田 耕嗣, 桝屋 隆太, 町頭 成郎, 中目 和彦, 向井 基, 加治 建, 家入 里志
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1106-1111
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    神経芽腫との鑑別を要し,oncologic emergencyを呈した胃原発未熟奇形腫の新生児例を経験した.症例は在胎24週時に胎児超音波検査で腹腔内腫瘤,在胎26週に切迫早産,羊水過多を認め,胎児MRI検査で神経芽腫もしくは奇形腫が疑われた.腫瘍は急速に増大し,在胎36週に帝王切開で早期娩出された.著明な腹部膨満を認め,横隔膜挙上に伴う呼吸促迫のため人工呼吸管理となった.2生日に腫瘍生検を行い,迅速病理の所見は神経芽腫に矛盾せず,尿中HVA値と血中NSE値は高値を認めた.早期治療介入が必要と判断し,最終病理診断を待たずに3生日より神経芽腫に準じた化学療法を開始した.最終病理診断は未熟奇形腫で,21生日に腫瘍摘出術を行った.胎児期に指摘された腫瘍性病変は,術前および術中迅速診断では鑑別が難しい症例が存在するため,小児科・病理診断科・放射線科との慎重な討議を重ねることが重要であると考えられた.

  • 小林 完, 平林 健, 木村 俊郎, 齋藤 傑, 袴田 健一
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1112-1116
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    症例は1歳6か月の男児.腹部腫瘤を主訴に前医を受診し,造影CTで右腎芽腫が疑われ入院となった.入院当日の夜間より頻脈を認めた.貧血の進行,造影CTで大量の腹水を認めた.腫瘍自然破裂による腹腔内出血の診断で当院へドクターヘリ搬送となった.全身状態の安定化を目的に手術に先行して経カテーテル的動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization: TAE)を行う方針とした.選択的右腎動脈造影でextravasationを認め,ゼラチンスポンジで塞栓した.翌日,手術を施行した.腫瘍被膜が破綻していたがTAEにより良好な止血が得られていた.病理所見で腎芽腫の診断となった.手技の煩雑性,困難性から小児固形腫瘍破裂による出血に対してのTAEは,特に幼児例では稀であるが,出血コントロール困難例では全身状態の安定化に寄与し,安全,迅速な治療の一助となり得ると考えられた.

  • 中目 和彦, 山田 耕嗣, 山田 和歌, 桝屋 隆太, 川野 孝文, 町頭 成郎, 向井 基, 加治 建, 野口 啓幸, 家入 里志
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1117-1123
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    新生児期に発症する先天性梨状窩瘻は頸部腫瘤により急激な症状を呈することがある.今回,呼吸困難で発症した新生児梨状窩瘻3例の報告に加え本邦報告例の集積結果より考察する.【症例1】2生日より発熱と呼吸障害を呈し,4生日に心肺停止状態となり気管内挿管により蘇生された.その際に左頸部腫瘤に気づかれ,囊胞穿刺造影で瘻孔を確認,26生日に摘出術を施行.【症例2】2生日に左頸部腫瘤による吸気性喘鳴が出現,MRI検査にて気泡・鏡面像を伴う囊胞を認め気管内挿管を必要とした.穿刺ドレナージの効果は一時的で,呼吸困難が持続したため摘出術を施行.【症例3】出生前より左頸部腫瘤を指摘され,出生後に呼吸障害と感染症状を認めたため囊胞の穿刺ドレナージが施行された.囊胞造影で瘻孔を認め,26生日に摘出術を施行.結語:呼吸障害を伴う新生児期発症の先天性梨状窩瘻に対しては頸部腫瘤の症状改善に加え早期手術を考慮する必要がある.

  • 相吉 翼, 東間 未来, 矢内 俊裕, 田中 尚, 吉田 志帆, 佐々木 理人, 連 利博
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1124-1128
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    症例は14歳の男児で,腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した.腹部超音波検査および腹部造影CTで小腸の限局性の拡張と虚血所見を認め,絞扼性イレウスの診断で緊急開腹手術を施行した.回腸末端より10 cm口側の回腸腸間膜前葉から臍後壁へ連続する索状物を認め,この索状物により回腸が限局性に絞扼していた.Meckel憩室は認めず,索状物の切除と絞扼の解除を行い手術を終了した.病理組織学的検査では索状物内に動静脈を認め,卵黄血管遺残の診断となった.Meckel憩室を伴わない卵黄血管遺残の報告は稀であるが,開腹歴のない絞扼性イレウスを診療する際には本症も鑑別診断として考慮すべきである.

  • 中山 智理, 土岐 彰, 千葉 正博, 杉山 彰英, 大澤 俊亮, 入江 理絵
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1129-1133
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    症例は13歳の男児で半年前から全身倦怠感を認めた.学校の健康診断で眼瞼結膜蒼白を指摘され,貧血の疑いで当院を受診した.血液検査で貧血と高CRP血症を認めた.腹部超音波検査で脾中極に境界明瞭で内部不均一な高エコー像を呈する腫瘤を認めた.造影CTで腫瘤辺縁に淡い染影効果を認めた.造影MRIでT1強調像は等信号,T2強調像は低信号を示し,内部に線状の低信号を伴う腫瘤を認めた.悪性の可能性が否定できず,用手補助腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.組織所見から炎症性偽腫瘍と診断した.脾炎症性偽腫瘍は特異的な検査所見がないため術前診断は非常に困難であり,また,悪性病変の可能性も否定できないため,腫瘍摘出術を選択するのが現状である.

  • 川口 雄之亮, 光永 哲也, 齋藤 武, 照井 慶太, 中田 光政, 吉田 英生
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1134-1139
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    症例は6歳女児.心窩部痛と嘔吐にて発症し,第2病日に卵巣囊腫茎捻転の診断で腹腔鏡下に手術を行ったが,右卵巣に囊腫はあるも捻転所見はなかった.術後に微熱と軽度な心窩部痛があったため腹部超音波検査と造影CT検査の再検討を行ったところ,肝門部に腫瘤を認め,消化管重複症や腸間膜リンパ管腫を疑って第37病日に再手術を行った.術中所見では,肝管左右分岐の頭側に肝実質にもぐり込むような径15 mmの腫瘤を認め,これを摘出した.病理所見は虚血壊死した肝組織であり,副肝葉捻転と診断した.術後経過は良好で,術後8日目に退院となった.肝臓の発生異常である副肝葉は,画像検査では特異的な所見がないため診断困難であり,ほとんどが術中所見もしくは術後の病理検査で確定診断される.捻転にて発症することは稀と考えられるが,急性腹症の鑑別として考慮すべき疾患と考えられた.

  • 高成田 祐希, 尾藤 祐子, 大片 祐一, 河原 仁守, 會田 洋輔, 橘木 由美子, 中井 優美子
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1140-1144
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    症例は日齢4男児.正期産,成熟児で仮死なく出生した.反復性嘔吐を主訴に日齢2に前医入院し,画像検査で先天性食道裂孔ヘルニアと診断され,精査加療目的に当院へ新生児搬送された.日齢5に施行した上部消化管造影検査で,短食道を伴う先天性全胃挙上食道裂孔ヘルニアと診断した.体格や耐術能を考慮して待機的に手術を行う方針とした.待機的手術までの間に,経管栄養,体位療法,制酸剤投与を行った.日齢68に施行した上部消化管造影検査では食道の延長を確認できた.日齢75に体重4,160 gで腹腔鏡下噴門形成術(Toupet法)+食道裂孔縫縮術を施行した.術後11日目に経口哺乳を再開し,以後嘔吐はなく経過し術後51日目に退院した.先天性食道裂孔ヘルニアに対しては,短食道を合併する可能性があるため術式を慎重に検討する必要があり,全身状態が安定し経管栄養により成長が得られる場合は待機的に手術を行うことが有用であると考えられた.

  • 里見 美和, 木戸 美織, 中村 清邦, 城之前 翼, 桑原 強, 安井 良僚, 河野 美幸
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1145-1149
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    直腸狭窄症は直腸肛門奇形の一病型で,極めてまれな疾患である.高度便秘により受診した直腸狭窄症の1例を経験したので報告する.症例は2歳3か月,男児.生後より便秘症として近医で内科的治療を行われていたが,腹部膨満が増悪し紹介された.肛門外観は正常で,直腸診で肛門縁より4 cmの部位にリング状の狭窄を認め,注腸造影で同部位の狭窄を確認し,内視鏡検査で直腸狭窄症と診断した.バルーン拡張術では効果なく,経肛門的に狭窄部部分切除術を施行した.病理組織では粘膜下層の活動性のある線維芽細胞を認めたが,筋層は保たれていた.術後は内服治療で排便コントロール可能となった.仙骨前腫瘤,仙骨奇形などを合併していない『anorectal stenosis』でPubMedで検索し得た報告は1例のみであり,本邦40年間の小児報告もわずか5例であった.狭窄部が肛門への脱転が可能であれば,経肛門的狭窄部切除術は良い適応と考える.

  • 吉澤 一貴, 望月 響子, 大澤 絵都子, 臼井 秀仁, 北河 徳彦, 田中 水緒, 新開 真人
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1150-1155
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    7歳男児.前日からの激しい腹痛で受診した.CTで骨盤内に造影効果の乏しい囊腫様病変とwhirl signを認めたが,病変部より口側の腸管拡張や腹部膨満,胆汁性嘔吐といった腸閉塞所見は認めなかった.Meckel憩室茎捻転と診断し単孔式腹腔鏡補助下捻転解除・回腸楔状切除を施行した.Meckel憩室茎捻転の術前診断は困難とされているが,本症例では腸間膜対側病変であるMeckel憩室は腸管を巻き込まず捻転し得ることに着目することで術前診断が可能となった.腸閉塞所見を認めない腸管捻転はMeckel憩室茎捻転の可能性を念頭において手術術式を選択すべきであり,単孔式腹腔鏡補助下手術は有用であった.

  • 松久保 眞, 野口 啓幸, 武藤 充, 馬場 徳朗, 鈴東 昌也, 家入 里志
    2018 年 54 巻 5 号 p. 1156-1160
    発行日: 2018/08/20
    公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー

    症例は12歳男児.腹痛で発症し,その後嘔吐も認めるため発症3日目に救急病院を受診した.腹膜刺激症状があり,画像検査で腹部に金属製異物とfree airを認めため,当科に救急搬送された.消化管異物による消化管穿孔を疑い緊急開腹手術を施行した.術中所見で消化管異物は複数の磁石と金属であり,小腸-小腸と小腸-結腸の2か所で癒合し,癒合部位に穿通を認めた.異物をすべて摘出し手術を終了した.術後経過中に患児の異物摂食が目撃され,精神科医の診察により心因性ストレスによる異食症と診断された.術後2年経過しているが,現在も精神科のフォローは継続している.複数の磁石誤飲は消化管の瘻孔形成,穿通,穿孔,腸閉塞などさまざまな消化管障害を起こす危険性があり,積極的な治療介入が必要である.また年長児異物誤飲は,精神疾患が潜在している可能性を考慮し診療を進める必要がある.

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