2018 年 54 巻 5 号 p. 1081-1088
【目的】当施設で経験したGross A型食道閉鎖症の治療成績から,治療法の選択と問題点について検討する.
【方法】1982~2017年までに治療を施行したGross A型食道閉鎖症12例を対象とした.症例の背景,食道延長法とその期間,根治術の時期,術後合併症,転帰を後方視的に検討した.
【結果】男児7例,女児5例で,在胎週数は中央値38.1週(26.4~41.6週),出生体重は中央値2,111 g(746~3,130 g)であった.3例に先天性心疾患を,1例に十二指腸閉鎖と鎖肛を,1例に先天性食道狭窄を合併していた.染色体異常は1例に18トリソミーを,1例に6q-症候群を認めた.生直後のgapの中央値は4.5椎体(3~7椎体)であった.食道延長は6例にHoward法,3例に木村法,1例にFoker法を行い,1例は食道延長が不要であった.18トリソミーの症例は,胃瘻と頸部食道瘻を造設し食道吻合術は行わなかった.食道延長期間の中央値は127日(15~337日)で,食道延長に伴う合併症はHoward法の1例で下部食道損傷を,木村法の2例で反回神経麻痺を認めた.11例で中央値5.5か月(0.8~14.5か月)に食道吻合術が行われ,全例自家食道による再建が可能であった.10例に術後吻合部狭窄を認めて食道バルーン拡張を施行したが,2例は難治性吻合部狭窄をきたし,食道狭窄部切除再吻合によって食道狭窄症状の著明な改善が得られた.
【結論】食道吻合術を行った全例において自家食道による再建が可能であった.難治性吻合部狭窄症に対しては,食道狭窄部切除再吻合術も検討すべき治療法の一つと考える.