排膿散及湯は排膿作用および抗炎症作用をもち,小児外科分野では肛門周囲膿瘍に有用とされている.また慢性化した場合には創傷治癒作用のある十全大補湯が適していると考えられている.症例は7歳男児.超低出生体重児で,乳児期に症候性てんかんや痙性四肢麻痺を発症して経口摂取が困難となり,5歳時に胃瘻を造設した.造設後,胃瘻周囲皮膚炎を繰り返し軟膏や皮膚保護剤などで対応していたが,7歳頃から増悪し,7歳5か月時の腹部CT検査で腹壁膿瘍を認めたため,排膿散及湯(0.3 g/kg/day)を開始した.1か月間で浸出液は減少し皮膚炎も軽快し,その後十全大補湯(0.3 g/kg/day)へ変更して加療したところ肉芽も縮小し,漢方治療開始から4か月後の腹部CT検査では腹壁の腫脹が著明に改善し,皮膚炎も治癒した.今回我々は,胃瘻周囲皮膚炎から腹壁膿瘍を形成し治療に難渋した重症心身障がい児に対して排膿散及湯および十全大補湯を投与して良好な結果を得たので報告する.