2018 年 54 巻 5 号 p. 1129-1133
症例は13歳の男児で半年前から全身倦怠感を認めた.学校の健康診断で眼瞼結膜蒼白を指摘され,貧血の疑いで当院を受診した.血液検査で貧血と高CRP血症を認めた.腹部超音波検査で脾中極に境界明瞭で内部不均一な高エコー像を呈する腫瘤を認めた.造影CTで腫瘤辺縁に淡い染影効果を認めた.造影MRIでT1強調像は等信号,T2強調像は低信号を示し,内部に線状の低信号を伴う腫瘤を認めた.悪性の可能性が否定できず,用手補助腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.組織所見から炎症性偽腫瘍と診断した.脾炎症性偽腫瘍は特異的な検査所見がないため術前診断は非常に困難であり,また,悪性病変の可能性も否定できないため,腫瘍摘出術を選択するのが現状である.