2018 年 54 巻 5 号 p. 1124-1128
症例は14歳の男児で,腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した.腹部超音波検査および腹部造影CTで小腸の限局性の拡張と虚血所見を認め,絞扼性イレウスの診断で緊急開腹手術を施行した.回腸末端より10 cm口側の回腸腸間膜前葉から臍後壁へ連続する索状物を認め,この索状物により回腸が限局性に絞扼していた.Meckel憩室は認めず,索状物の切除と絞扼の解除を行い手術を終了した.病理組織学的検査では索状物内に動静脈を認め,卵黄血管遺残の診断となった.Meckel憩室を伴わない卵黄血管遺残の報告は稀であるが,開腹歴のない絞扼性イレウスを診療する際には本症も鑑別診断として考慮すべきである.