日本小児外科学会雑誌
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症例報告
異所性胃粘膜による粘膜下囊胞が原因で繰り返し腸重積症を来たした2か月乳児
靏久 士保利金田 聡
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2019 年 55 巻 1 号 p. 59-63

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抄録

症例は2か月の男児.入院前日から顔色不良,間欠的渧泣を認め,前医を受診.腸重積症の診断で当科受診し,非観血的整復術を施行した.入院1日目から哺乳を開始したが,入院2日目,3日目に再発を認めた.3日目の再発時に施行した腹部エコーにて,回腸ポリープによる小腸–小腸重積が疑われた.近々の手術方針としたが,待機時に3,4回目の再発をし,入院4日目に緊急手術となった.手術では回腸–回腸–結腸重積を認め,Hutchinson手技で整復した.回盲部より約25 cmの腸間膜対側部位に内腔へ突出する2×2 cmの腫瘤を認めた.腫瘤を含めた楔状切除を行い,腸管縫合を行った.病理所見では粘膜下層に囊胞性病変を認め,内腔に胃粘膜を有することから回腸異所性胃粘膜の診断となった.粘膜下囊胞型の異所性胃粘膜は,症例報告が少なく腸管重複症との鑑別が困難である.だが,従来の異所性胃粘膜と同様に腸重積症の原因となりうるため,外科的治療を要する疾患である.

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