日本小児外科学会雑誌
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55 巻 , 1 号
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おしらせ
学術集会記録
原著
  • 山根 裕介, 橋本 慎太郎, 篠原 彰太, 吉田 拓哉, 田浦 康明, 小坂 太一郎, 高槻 光寿, 江口 晋, 永安 武, 大畠 雅之
    2019 年 55 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    【目的】当科では急性虫垂炎に対する手術を若手外科医が担当し,単孔式腹腔鏡下虫垂切除術(SILA)および虫垂根部を体内結紮(intracorporeal knotting;IK)で処理している.若手外科医には日々のIKのドライボックストレーニング(drybox training;DT)を課している.今回,IKの成績を検討したので報告する.

    【方法】2015年4月から2016年12月の期間で,卒後3年目の後期研修医が執刀を担当し,虫垂根部をIKで処理した症例を対象とした.また2016年3月までDTの指導は直接指導で行っていたが,4月からSNSを併用した.DTの指導にSNSを利用しなかった術者が執刀したS(-)群,SNSを利用した術者が執刀したS(+)群の2群間で手術時間,IKに要した時間,術後合併症に関して比較検討を行った.

    【結果】術者はS(-)群4人,S(+)群3人で,11例に対してSILA・IKが施行された.手術時間に差を認めなかったが,IKに要した時間は,S(-)群15.2分,S(+)群9.1分で,S(+)群で有意に手技時間の短縮を認めた.両群とも術後合併症を認めなかった.

    【結論】IKは事前のDTにより合併症なく安全に施行することができた.またSNSを利用した方がIKの時間を短縮できたことから,SNSは効果的にDTの学習効果を高める可能性が示唆された.

  • 風間 理郎, 和田 基, 佐々木 英之, 田中 拡, 工藤 博典, 中村 恵美, 福澤 太一, 佐藤 智行, 林 富, 仁尾 正記
    2019 年 55 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    【目的】当科で経験した小児胸壁原発軟部肉腫の根治的切除術での切除縁と臨床経過との関連について検討した.

    【方法】1994年から2015年までに当科で経験した胸壁原発軟部肉腫7例を対象とし,導入化学療法後あるいは導入化学療法と放射線治療後に行った,根治的切除術(以下,根治術)の切除縁と手術後の治療成績について後方視的に検討を行った.

    【結果】遠隔転移がなかった6例のうち,根治術で広範切除を行い放射線治療は行わなかった,腫瘍反応層から切除縁2 cmのundifferentiated round cell sarcomaと1 cmのprimitive neuroectodermal tumor(PNET)の2例は再発を認めなかったが,切除縁1 cmの滑膜肉腫は局所再発を認めた.辺縁切除と放射線治療を組み合わせた3例(PNET 2例,横紋筋肉腫1例)はいずれも再発は認めなかった.また,胸壁再建術が行われた3例に重篤な合併症は認めなかった.7例全体の5年over all survivalは85.7%で,event free survivalは71.4%だった.死亡症例は初診時に遠隔転移を認めたPNETの1例のみだった.

    【結論】遠隔転移がない小児胸壁原発軟部肉腫の根治術で,二次がんなどの晩期障害の懸念がある放射線治療の併用を省略することができる切除縁としては腫瘍反応層から2 cmが一つの目安になる可能性が示唆された.なお胸壁再建術の安全性は高く,広範切除の可能性を広げる有効な手段であると考えられた.

  • 片山 修一, 後藤 隆文, 中原 康雄, 上野 悠, 人見 浩介, 宮木 康成, 青山 興司
    2019 年 55 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    【目的】腸重積症の治療として高圧浣腸を行う際,我々はエコー下整復法を採用している.2012年に刊行されたガイドラインでは整復の高さは120 cmまでが推奨されている.特に生後6か月未満で合併症である腸穿孔が多いことを考慮されているが,それ以降の年齢で120 cmの高さに限定する必要があるのか疑問が残る.今回,当施設における高圧浣腸の治療成績と整復条件に対する調査を行い,整復率に最も違いのでる年齢と,整復に至適な高さを検討した.

    【方法】2011年11月から2016年10月の腸重積症自験例50症例53回の整復条件について調査した.整復する際の浣腸液は生理食塩水(生食)を使用した.生食を経肛門的に注腸するにあたり,高さ(整復高)は100 cm前後から開始した.エコーで先進部を確認しながら先進部が停滞するようであれば徐々に高くし,最高180 cmまで上げるとした.整復結果を診療録から後方視的に検討した.

    【結果】成功率は53回中50回(94.3%)であり,再発率は50回中3回(6.0%)であった.再発した3回は全例非観血的に整復可能であった.2回以上再発した症例は認めなかった.150 cmまでの高さで合併症は1例も発生していなかった.整復するために160 cm以上を要したのは7症例であり,うち5症例は1歳前後までの乳児であった.また最も整復率に差が出る境界年齢は1.16歳(1歳2か月)であり,150 cmまで上げると1.16歳未満では69.4%,1.16歳以上では99.7%が整復可能であった.

    【結論】整復高は150 cmまでであれば穿孔を生じなかった.1.16歳を境として整復率に最も差が出た.1.16歳までは120 cmまでの高さでの高圧浣腸を実施し,1.16歳以上の児に150 cmまでの高さを設定することは安全性に配慮し実施できる条件だと考える.

症例報告
  • 靏久 士保利, 金田 聡
    2019 年 55 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    症例は2か月の男児.入院前日から顔色不良,間欠的渧泣を認め,前医を受診.腸重積症の診断で当科受診し,非観血的整復術を施行した.入院1日目から哺乳を開始したが,入院2日目,3日目に再発を認めた.3日目の再発時に施行した腹部エコーにて,回腸ポリープによる小腸–小腸重積が疑われた.近々の手術方針としたが,待機時に3,4回目の再発をし,入院4日目に緊急手術となった.手術では回腸–回腸–結腸重積を認め,Hutchinson手技で整復した.回盲部より約25 cmの腸間膜対側部位に内腔へ突出する2×2 cmの腫瘤を認めた.腫瘤を含めた楔状切除を行い,腸管縫合を行った.病理所見では粘膜下層に囊胞性病変を認め,内腔に胃粘膜を有することから回腸異所性胃粘膜の診断となった.粘膜下囊胞型の異所性胃粘膜は,症例報告が少なく腸管重複症との鑑別が困難である.だが,従来の異所性胃粘膜と同様に腸重積症の原因となりうるため,外科的治療を要する疾患である.

  • 鳥井ヶ原 幸博, 近藤 剛, 山内 健
    2019 年 55 巻 1 号 p. 64-67
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    症例は5歳の女児.間欠的な右下腹部痛のため救急病院を受診した.血液検査で炎症反応の上昇があり,腹部造影CTで右下腹部に小腸を巻き込んだ腫瘤性病変を認め,悪性病変を含めた精査加療目的に当院紹介となった.腹部超音波検査では右下腹部に径5 cm大の腫瘤を認め,内部は固形成分と液体成分が混在し,カラードップラーで腫瘤背側から放射状に腫瘤内への血流の流入を認めた.腹部MRIからも腸管原発の腫瘍が疑われ,FDG PET-CTでは腫瘍内と傍大動脈リンパ節,ダグラス窩に集積を認めた.以上より腹膜播種したリンパ腫を疑い手術を行った.腹腔鏡下に回盲部を受動した後,開腹手術に移行して虫垂原発の腫瘍を直接浸潤した回腸と一塊にして切除した.病理組織学的検査で虫垂原発の非ホジキンリンパ腫リンパ腫と診断し,術後5日目から化学療法を開始した.化学療法後のPET-CTでは転移巣の集積亢進は消失し,良好な経過をとっている.

  • 馬庭 淳之介, 古川 泰三, 曽我美 朋子, 田中 智子, 東 真弓, 坂井 宏平, 文野 誠久, 青井 重善, 田尻 達郎
    2019 年 55 巻 1 号 p. 68-73
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    症例は,0生日女児.在胎19週の胎児超音波検査にて心奇形,羊水過多,腹部腫瘤を,在胎24週では左心低形成症候群を指摘され,そして,在胎28週の胎児MRIにて上腹部から骨盤にかけて約80 mmの囊胞性病変が認められた.さらに,在胎33週の胎児超音波検査にて拡張腸管壁が蠕動する所見が認められた.出生後,腹部側面撮影にて腹腔内遊離ガスを疑う液面形成が疑われ,胎便性腹膜炎の可能性が示唆されたため,日齢0に緊急開腹術を施行した.術中所見は,正常腸管より急峻に部分的に拡張した腸管(10×10×15 cm)を認め,部位及び所見よりsegmental dilation of the duodenumと考えられた.拡張部にVater乳頭が含まれており完全切除は困難であったため,自動吻合器で拡張腸管のtaperingを行った.術後,経管栄養は順調であったが,左心低形成症候群による肺高血圧症が進行し,日齢78日に永眠した.

  • 安部 孝俊, 石川 暢己, 中林 和庸, 服部 昌和
    2019 年 55 巻 1 号 p. 74-77
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    症例は生後7日,女児.在胎28週0日に仙尾部奇形腫を疑われ当院へ紹介された.胎児水腫等の兆候はなく経過し,在胎37週4日に帝王切開で出生した.出生時体重3,412 g,Apgar score 8/9点であった.腹部超音波検査にて長径100 mmの腫瘍を認めたが,流入血管に関しては評価困難であった.その後も全身状態が落ち着いていたため造影CTを施行し,仙骨正中動脈が栄養血管と確認できた.日齢7に待機的に手術を施行した.手術は仰臥位,下腹部横切開にて開腹し,術前造影CT検査で腫瘍の栄養血管と指摘されていた仙骨正中動脈及び伴走する静脈を先行して結紮切離した.腫瘍を骨盤腔内から可及的に剥離したのちにジャックナイフ体位に変更し,腫瘍を尾骨周囲より剥離し摘出した.周術期に輸血は施行しなかった.術後1年10か月経過した時点で再発は認めていない.

  • 當山 千巌, 樋渡 勝平, 児玉 匡, 正畠 和典, 奈良 啓悟, 曺 英樹, 臼井 規朗, 松岡 圭子
    2019 年 55 巻 1 号 p. 78-82
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    われわれは十二指腸壁内に異所性胆管組織増殖を伴った胆道閉鎖症を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は日齢12の女児.出生前に胎児超音波検査で肝門部付近に囊胞像を指摘されていた.他院にて出生し,膵頭部付近に腹腔内囊胞を認めたため精査目的に当院に紹介された.腹部超音波検査では十二指腸重複症を疑って待機的に手術を予定していた.日齢99日に黄疸と灰白色便を認め,精査の結果,胆道閉鎖症が疑われた.日齢106日に開腹術を施行し,手術所見から胆道閉鎖症IIIb1ν型と診断し,肝門部空腸吻合術を施行した.十二指腸の前壁に20 mm大の囊胞性病変を認めたため,重複腸管組織と考えて同時に切除した.腫瘤の病理組織は異所性胆管組織および異所性膵組織であった.術後,腫瘤切除部の穿孔をきたして再開腹術を要したが,その後の経過は良好で減黄が得られた.

  • 斎藤 浩一, 窪田 正幸, 木下 義晶, 小林 隆, 荒井 勇樹, 大山 俊之, 横田 直樹
    2019 年 55 巻 1 号 p. 83-88
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    肝間葉性過誤腫は,2歳未満の乳幼児に好発する稀な良性腫瘍で,完全切除を原則とするが,巨大な場合や占拠部位によっては手術に伴う合併症の危険性が高い.今回,肝S4とS8を占拠する巨大な肝間葉性過誤腫に対し,硬化療法による腫瘍の縮小後に,腫瘍核出術を施行し得た症例を経験した.症例は1歳7か月の男児.肝腫大の精査により肝S4とS8を占拠する6.7×4.8 cmの多房性囊胞性病変を発見された.腫瘍が巨大なため,まずOK-432による硬化療法を施行し,縮小効果が得られたため,その後も約3か月おきに合計3回施行した.腫瘍は3.7×3.4 cmまで縮小し,2歳5か月時に腫瘍核出術を施行した.術後経過は良好で,術後1年6か月の現在,再発を認めていない.硬化療法を先行させた例は文献的には本例が2例目で,初回報告例でも囊胞の縮小効果を認めている.術前の硬化療法は安全な腫瘍核出術のために有用な治療戦略と考えられた.

  • 近藤 琢也, 永田 公二, 岩中 剛, 三好 きな, 江角 元史郎, 木下 義晶, 孝橋 賢一, 田口 智章
    2019 年 55 巻 1 号 p. 89-94
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    症例は2歳男児.小腸型ヒルシュスプルング病の診断で,人工肛門を造設し,在宅静脈栄養管理中であった.2歳6か月時に発熱を主訴に受診しカテーテル関連血流感染の診断で入院した.入院3日目に突然の顔面蒼白,脈拍上昇,腹部膨満を認め出血性ショックとなった.腹部超音波検査で腹水貯留を認め,腹部造影CT検査にて脾破裂と診断し,同日脾動脈塞栓術を施行した.その後,被膜下血腫の増大を認めたため,塞栓術施行後8日目に脾臓摘出術を施行し,脾下極部の被膜裂傷を認めた.経過良好で術後32日目に退院したが,術後3か月時に乏尿,活気不良にて受診した.脾摘後重症感染症の疑いで入院・加療を開始したが,2歳10か月で永眠された.本症例は,小腸型ヒルシュスプルング病に非外傷性脾破裂を併発した稀な症例である.その経過についてまとめ,原疾患と脾破裂の関連やその成因,急変後の初期対応などについて考察し,報告する.

  • 石井 惇也, 小笠原 有紀, 西崎 直人, 山田 進, 大日方 薫, 岡崎 任晴
    2019 年 55 巻 1 号 p. 95-98
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    症例は,切迫早産にて在胎24週2日緊急帝王切開で院内分娩となった女児.出生時体重539 g.直ちにNICU入院.日齢4より母乳での経腸栄養を開始した.日齢7より腹部膨満が出現し,日齢9の腹部X線にて腹腔内遊離ガス像を認めたため,緊急手術を施行した.開腹すると径1.5 cm大の回腸腸間膜欠損孔へ回腸が嵌入した腸間膜裂孔ヘルニアで,穿孔部位は嵌入腸管で回腸末端より5 cm口側の位置であった.穿孔部を含め血行障害を呈していた回腸約20 cmを切除し,単孔式回腸瘻を造設した.日齢188に回腸瘻閉鎖術を施行し,術後順調に経過している.腸間膜裂孔ヘルニアは稀な疾患であるが,超低出生体重児の腹部膨満,腸閉塞症状の病態では本疾患も念頭において対応する必要がある.

  • 井岡 笑子, 文野 誠久, 古川 泰三, 三村 和哉, 坂井 宏平, 東 真弓, 青井 重善, 小関 道夫, 田尻 達郎
    2019 年 55 巻 1 号 p. 99-103
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    小児肝胆道手術において,副肝管の存在は術前診断が困難であり,術中損傷による術後胆汁漏や胆管炎により,病悩期間を長期化させ,患者のQOLを著しく低下させる可能性がある.さらに小児では胆管が細径であることが多く,壁の脆弱性もあり,胆管空腸吻合での再建が困難であることが少なくない.今回われわれは,術中の副肝管損傷に対して肝門部空腸吻合で再建した1例を経験した.症例は6歳,男児.肝芽腫,PRETEXTIIに対して肝左葉切除術を施行中に胆囊管から分岐する副肝管(B5分枝)を損傷した.胆管が細く脆弱で,胆管空腸吻合が困難であったため,ステントレスの右肝門部空腸吻合で再建した.術後胆汁流出は良好であり,肝内胆管拡張などは認めていない.小児肝切除における術中胆管損傷に対して本例のように胆管が細く脆弱である場合や,一穴化不能な複数の胆管がある場合,肝門部空腸吻合は有用なサルベージ再建法であると考えられた.

  • 鮫島 由友, 福澤 宏明, 河原 仁守, 梶原 啓資, 磯野 香織, 村上 紫津, 森田 圭一, 中尾 真, 横井 暁子, 前田 貢作
    2019 年 55 巻 1 号 p. 104-109
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    胃GIST,肺軟骨腫,副腎外神経節腫の3病変を伴う稀な疾患をCarney’s triadと呼び,若年女性に多いことが知られている.通常のGIST発生機序と異なり,コハク酸脱水素酵素(SDH)機能異常が原因となる.今回,胃と肺の2病変を伴う不完全型Carney’s triadを経験したので報告する.症例は19歳女性.10歳時に胃前庭部の粘膜下腫瘍と多発肺腫瘤を認め,胃部分切除術を施行,病理検査でwild type GISTと診断された.術後イマチニブを使用したが肺腫瘤は緩徐に増大した.薬剤を変更するも効果なく,胃切除標本を再検したところSDH欠失型のGISTと判明した.右肺上葉の腫瘤は徐々に増大し,19歳時に右上葉切除を施行,病理検査で軟骨腫と診断された.若年者の胃GISTで肺病変を伴う場合,Carney’s triadを考慮して精査加療を行う必要がある.

  • 川野 正人, 後藤 倫子, 向井 基, 馬場 徳朗, 川野 孝文, 大西 峻, 山田 和歌, 中目 和彦, 加治 建, 家入 里志
    2019 年 55 巻 1 号 p. 110-114
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    13歳の女児.9歳時に背部打撲後に腹痛,嘔吐,高アミラーゼ血症を認めたため,鈍的膵損傷と診断し保存的治療を行った.11歳時に,再び腹痛,嘔吐を認め,内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)で完全型膵癒合不全に伴う反復性膵炎と診断された.膵炎はその後も再燃を繰り返したため,13歳時に内視鏡的副乳頭切開術および膵管ステント挿入術を行った.膵炎の反復はその後も消失せず逆に増悪傾向を認め,膵癒合不全以外の膵炎の原因検索を行いserine protease inhibitor, Kazal type 1(SPINK1)遺伝子にヘテロ変異を認めた.膵癒合不全には健常者と比較してSPINK1遺伝子変異が高頻度に合併する.膵癒合不全に伴う反復性膵炎患者では遺伝性膵炎の遺伝子検索と膵炎の部位診断を事前に行い,遺伝子異常の合併した症例の外科的処置は膵炎が背側膵に限局している症例のみを対象にするなど,より慎重な治療戦略の決定が必要と考えられた.

  • 黒田 靖浩, 洲尾 昌伍, 澤井 利夫, 金廣 裕道, 庄 雅之
    2019 年 55 巻 1 号 p. 115-119
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    症例は3歳女児.突然の間欠的腹痛を主訴に前医を受診した.急性腸炎の診断で経過観察されたが,症状持続のためCT検査が施行され,卵巣腫瘍茎捻転の疑いで発症から48時間で当科紹介受診した.緊急手術の方針とし,腹腔鏡下に観察したところ左卵巣腫瘍茎捻転を認め,捻転解除術を施行した.捻転解除後も左卵巣の色調は改善を認めず卵巣組織温存目的で卵巣の血流や鬱血の改善を期待し二期的に腫瘍核出術を行う方針とした.術後のMRI検査で卵巣成熟奇形腫と診断した.当初は14日後に手術を予定していたがムンプス罹患のために28日後に施行となった.卵巣の血流や腫瘍自体の鬱血は改善しており,卵巣組織と腫瘍との剥離は容易で,卵巣組織を温存することが可能であった.小児や生殖可能年齢女性の卵巣茎捻転では卵巣温存に努める必要がある.今回捻転解除から待機的に核出術を施行することで卵巣組織温存に有効であったと考える症例を経験したので報告する.

  • 森口 智江, 大西 峻, 村上 雅一, 杉田 光士郎, 矢野 圭輔, 馬場 徳朗, 山田 耕嗣, 山田 和歌, 中目 和彦, 家入 里志
    2019 年 55 巻 1 号 p. 120-124
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    症例1は日齢0の男児.母体の羊水過多を認め,胎児超音波で胃の拡張と下部消化管の描出不良を認め,先天性幽門閉鎖症と診断した.出生時腹部単純X線写真でsingle bubble signを認め,上部消化管造影検査で十二指腸への造影剤通過を認めず,日齢1日目に手術を施行した.症例2は日齢0の女児.母体の羊水過多,胎児超音波で消化管のdouble bubble sign様の像を認めた.出生時腹部単純X線写真及び上部消化管造影検査でもdouble bubble sign様の像を呈し,先天性十二指腸閉鎖症の診断で日齢1日目に手術を施行した.術中所見で幽門部に膜様閉鎖を認め,先天性幽門閉鎖症の診断となった.先天性幽門閉鎖症は術前の画像検査でのsingle bubble signが特徴的だが,典型像を示さない症例もある.先天性十二指腸閉鎖症を疑った場合でも,本疾患を念頭に置き診察・加療を進める必要があると考えられた.

  • 吉村 翔平, 右田 美里, 迫田 晃子, 黒崎 剛史, 松藤 凡
    2019 年 55 巻 1 号 p. 125-128
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    症例は9歳男児.肉眼的血尿の精査で膀胱内に乳頭状の腫瘍を認め,ホルミウムヤグレーザーを用いた経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)で完全切除した.手術標本から非浸潤性膀胱癌の確定診断に至った.術後1年6か月では再発なく経過している.小児期に発症した膀胱癌は非常に稀であり,本症例は本邦で26例目の症例報告となる.小児膀胱癌の約90%で血尿を契機に診断され,悪性度が低い傾向にあるため多くの場合で成人と同様にTUR-BTの治療が行われる.本症例では,3歳時にEwing肉腫に対して化学療法(VDC-IE療法)が行われており,化学療法の晩期合併症の可能性は否定できない.小児癌長期生存例の増加に伴い,今後同様の症例が増えてくる可能性がある.

  • 白井 剛, 中村 晶俊, 後藤 麻木
    2019 年 55 巻 1 号 p. 129-134
    発行日: 2019/02/20
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー

    症例は0生日の女児.妊娠35週6日に母が胎動減少を自覚し,妊娠36週0日に受診した.Cardiotocogramでは基線細変動の減少と軽度変動一過性徐脈を認め,胎児超音波検査では腸管拡張と腹水を認めた.胎児機能不全と胎便性腹膜炎の診断で,同日に緊急帝王切開で出生となった.腹部は緊満し,貧血と代謝性アシドーシスを認めた.腹部超音波検査で腸回転異常症の所見はなく,消化管造影では空腸での通過障害およびmicrocolon像を認めた.絞扼性イレウスの診断で出生4時間後に手術を施行した.空腸部の腸間膜裂孔に小腸が嵌入し捻転壊死し,壊死腸管より肛門側の腸管内腔には灰白色の胎便が充満していた.壊死腸管を切除後,端々吻合し,裂孔部を修復した.術後32日目に退院となった.自験例は,出生前および出生後の所見から,少なくとも胎児期中期から腸間膜裂孔に嵌入していた腸管が出生直前に捻転し,胎児絞扼性イレウスとして発症したと考えられた.

委員会報告
地方会
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