2019 年 55 巻 2 号 p. 286-290
小腸閉鎖症術後に新生児・乳児消化管アレルギー(以下,本症)が原因と考えられた壊死性腸炎の1例を経験した.症例は日齢38の男児.在胎37週5日,出生体重2,926 g.日齢1に離断型小腸閉鎖症に対し根治術を施行した.母乳,高度加水分解乳に対し本症の症状を認め,日齢38に腹部膨満著明,ショックを呈し緊急開腹手術を施行した.壊死性腸炎の診断で術後短腸症候群となった.術後はアミノ酸乳と中心静脈栄養を併用し,症状再燃なく経過した.以上の臨床経過より本症が壊死性腸炎の発症原因になったと考えられた.現在は中心静脈栄養を離脱し体重増加は良好で現在に至る.小腸閉鎖症術後は本症発症時に吻合部の通過障害をきたし壊死性腸炎を誘発する可能性が示唆された.本症発症時は積極的に腸管安静に努め壊死性腸炎の続発を予防することが重要である.