日本小児外科学会雑誌
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55 巻 , 2 号
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おしらせ
原著
  • 安藤 亮, 伊勢 一哉
    2019 年 55 巻 2 号 p. 231-235
    発行日: 2019/04/20
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    【目的】急性虫垂炎では術後の細菌合併症予防のために適切な抗菌薬を使用する必要がある.虫垂炎手術症例での虫垂内細菌叢を検討し,周術期に使用する抗菌薬選択の参考とすることを目的とした.

    【方法】2012年1月~2017年6月に当科で手術を施行した小児急性虫垂炎症例47例中,術中検体から細菌が検出された40例について後方視的に検討した.虫垂内容ぬぐい液もしくは腹腔内の膿汁を細菌培養検査に提出した.発症からの日数および炎症の程度でそれぞれ2群に分けて,各菌の検出率の差を検討した.

    【結果】40例中E. coliが28例(70%),Bacteroides fragilisが15例(38%),Enterococcus sp.が14例(35%),Bacillus sp.が11例(28%),Pseudomonas aeruginosaが10例(25%),Streptococcus sp.が7例(18%)で検出された.発症からの日数の経過および炎症の進行に伴い,Enterococcus sp., Pseudomonas aeruginosaの検出率が増加した.

    【結論】発症から2日以上経過した症例や壊疽性虫垂炎ではEnterococcus sp., Pseudomonas aeruginosaに対する感受性を考慮して抗菌薬を選択する必要があると考えられた.

  • 横山 智至, 中岡 達雄
    2019 年 55 巻 2 号 p. 236-241
    発行日: 2019/04/20
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    【目的】近年,小児急性虫垂炎に対し,保存的治療が奏功するとの報告が散見されるようになった.当院における単純性虫垂炎に対する保存的治療の成績を検討し,さらに通院治療の可能性についても検討した.

    【方法】2007年1月から2017年12月までにCT検査にて急性虫垂炎と診断した212例中,単純性虫垂炎と診断された症例は168例であった.初期治療として保存的治療を行った86例を対象とし,診療録より後方視的に検討した.

    【結果】平均年齢10.8歳(5~15歳),男児49例,女児37例.48例は入院治療,38例に通院治療を行った.入院治療群の平均入院期間は4.6日(2~9日)であった.保存的治療が奏功せず手術を行った症例は3例(入院治療群/通院治療群:2/1例)(3.5%)あり,治療成功率は入院治療群96%,通院治療群97%であった.保存的治療において合併症例は認めなかった.初回保存的治療が奏功した83例中,虫垂炎の再発を8例(9.6%)に認めた.平均再発時期は4.4か月(3~17か月).このうち5例は再発時に手術を行い,3例は再度保存的治療を行ったのち,待機的虫垂切除を行った.さらに再発を認めなかった75症例中7例に予防的手術を行った結果,最終的に15例(18.1%)で虫垂切除を行った.残る68例(81.9%)は再発なく経過観察中である.

    【結論】小児単純性虫垂炎の保存的治療の奏功率は高く,また約8割の症例で再発なく経過観察中である.さらに通院治療での抗菌薬管理でも治療成績は良好であり,治療の選択肢の一つとなり得る可能性が示唆された.

  • 岡村 かおり, 前田 翔平, 飯田 則利
    2019 年 55 巻 2 号 p. 242-247
    発行日: 2019/04/20
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    【目的】先天性食道狭窄症(CES)は病型に応じた治療が推奨されているが,食道造影所見による病型診断のみでは不確実であり,明確な治療方針が確立していない.今回当科における14例のCESの経験から,治療戦略を検討する.

    【方法】1992年4月から2018年3月までの過去26年間に当科で治療した計14例のCESを対象とし,診療録をもとに後方視的に検討した.

    【結果】合併奇形は食道閉鎖3例,心大血管奇形1例,直腸肛門奇形1例,多発小奇形1例であった.10例は食道通過障害で発症したが,うち9例は離乳食開始時期,1例は新生児期の発症であった.発症から診断までの期間は平均8.5か月で,5例で半年以上の期間を要していた.狭窄部位は上部食道1例,中部食道3例,下部食道8例,中部・下部食道の合併が2例で,うち1例は多発狭窄であった.食道造影を施行した13例のうち,abrupt narrowingが9例,tapered narrowingが4例であった.治療の内訳は,13例でまず内視鏡的バルーン拡張術を行い,8例は軽快したが,5例は手術を要した.拡張術で軽快した8例の平均拡張回数は5.4回であった.手術を行った5例の術式は狭窄部切除・吻合が3例,半環状切除1例,初回の食道筋層切開が無効であった1例は再手術で狭窄部切除・吻合を施行した.病型は筋線維性肥厚型4例,気管原基迷入型1例,膜様狭窄1例,不明が8例であった.

    【結論】CESに対し食道造影および食道超音波内視鏡を行い,食道穿孔に留意して拡張術を繰り返し行い,無効例に手術を選択することで不要な手術を回避できる.

  • 谷本 光隆, 尾藤 祐子, 大片 祐一, 西島 栄治, 前田 貢作
    2019 年 55 巻 2 号 p. 248-252
    発行日: 2019/04/20
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    【目的】先天性気管狭窄症(CTS: congenital tracheal stenosis)は,重篤な呼吸障害を来し,外科的介入を必要とする症例が多い一方,保存的に経過観察が可能な症例が存在する.当院で経験した先天性気管狭窄症の非手術症例の病態について検討した.

    【方法】対象は2000年から2009年までに当院を受診したCTS 66例のうち,4年以上の経過観察を行った,上気道疾患合併症例を除いたCTS非手術症例11例で,性別,発症時年齢,病型,臨床経過,観察期間,CT上の気管内腔の最狭窄部径・狭窄率(正常気管径-最狭窄部径/正常気管径)及び変化について後方視的に検討した.

    【結果】男児5例,女児6例で,無症状の2例を除く9例の発症年齢は0~15(中央値2)か月で,症状は呼吸負荷時のみ喘鳴を認める症例が5例,安静時より喘鳴を認める症例が4例であった.58~185(平均99)か月の経過観察期間で,臨床症状は無症状6例,呼吸負荷時の喘鳴4例,安静時喘鳴1例と軽快傾向にあった.この間,3例に挿管呼吸管理を要した.CT肺野条件による最狭窄部径は1.9~4.5(平均2.8)mm,狭窄率は21~60(平均46)%であった.複数回CTを撮像した6例(観察期間13~85か月,平均43か月)で,最狭窄部径は0.64 mm/年(0.42~0.76)と増加を認めたが,狭窄率は42%から35%と有意な変化を認めなかった.

    【結論】狭窄の比較的軽微な症例は,成長に伴い症状の改善や気管径の増加を期待できる.慎重な適応の判断,経過観察中の十分な注意が必要だが,症状の軽微な症例に対しては保存的加療も考慮すべきである.

症例報告
  • 中川 洋一, 原田 徹, 金岡 祐次, 亀井 桂太郞, 仲野 聡
    2019 年 55 巻 2 号 p. 253-258
    発行日: 2019/04/20
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    腸重積にて発症した管腔内型の回盲弁部腸管重複症を経験したので報告する.症例は10か月男児.嘔吐を主訴に受診した.腹部超音波検査で腸重積が示唆され,高圧浣腸にて腸重積を認め整復は可能であったが,回盲部に球形の異常陰影が残存した.腹部CT検査も併せて腸管重複症の診断のもと,開腹術を施行した.回盲弁部に腫瘤を認め,回盲弁の温存は困難であり回盲部切除を行った.病理検査で異所性胃粘膜を伴う腸管重複症と確定診断した.回盲弁部腸管重複症は稀であり,術式に検討を加えて報告する.

  • 嶋村 藍, 井岡 笑子, 富樫 佑一, 坂井 宏平, 東 真弓, 文野 誠久, 青井 重善, 古川 泰三, 田尻 達郎
    2019 年 55 巻 2 号 p. 259-263
    発行日: 2019/04/20
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    症例は13歳女児.左下腹部痛と頻回の嘔吐で発症翌日に前医を受診した.CTで骨盤内に囊胞性病変を指摘され,卵巣囊腫茎捻転を疑われ同日当院へ救急搬送となった.エコー・CT検査より左下腹部から膀胱頭側にかけて径10 cmの充実成分のない多房性囊胞性病変を認め,囊胞成分はecho freeで鏡面形成は認められなかった.腹水を少量認め,卵巣囊腫茎捻転を疑い同日緊急手術を施行した.術中所見で左卵管より突出した囊腫と360°反時計方向の左卵管捻転を認めた.左卵巣の血流障害は認められず,左傍卵管囊腫に伴う卵管捻転と診断し囊腫核出術を施行した.術後経過は良好であり特に合併症を認めず術後7日目に退院となった.今回我々は卵巣囊腫茎捻転疑いで緊急手術を行い,術中所見から傍卵管囊腫に伴う卵管捻転と診断した1例を経験した.

  • 春松 敏夫, 下島 直樹, 内田 豪気, 富田 紘史, 石岡 茂樹, 下高原 昭廣, 廣部 誠一
    2019 年 55 巻 2 号 p. 264-268
    発行日: 2019/04/20
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    生来健康な女児に発症した盲腸捻転に対し,審査腹腔鏡にて診断し盲腸固定術を施行しえた症例を経験した.症例は13歳,女児.主訴は急激な腹痛.特記すべき既往歴はなし.腹部X線写真では腸閉塞像はなく,腹部CT検査では腸間膜動脈でのwhirlpool signを認め腸管捻転が示唆された.腹痛の改善もなく,発症から12時間後に審査腹腔鏡を施行した.盲腸捻転を認め,捻転解除および盲腸固定術を行った.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.盲腸捻転の術前診断は,X線写真やCT検査では難しいとされ,発症早期では,腸閉塞像なども不明瞭となる.注腸造影検査での‘beak sign’が診断に有用であるが,検査による腸管穿孔のリスクもある.今回,腹部症状と造影CTでのwhirlpool signにて腸管捻転を疑うことができ,審査腹腔鏡が早期診断に有用であった1例を経験した.回盲部温存のためにも早期診断が重要であると考えられた.

  • 花木 祥二朗, 中原 康雄, 大倉 隆宏, 人見 浩介, 上野 悠, 仲田 惣一, 太田 徹哉, 後藤 隆文
    2019 年 55 巻 2 号 p. 269-273
    発行日: 2019/04/20
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    症例は12歳の男児で,黄疸を主訴に受診し,腹部造影CTおよびMRIで膵頭部に直径約6 cmの腫瘤性病変を認めた.囊胞の被膜および充実部に漸増性濃染の所見を有したため,膵solid-psuedopapillary neoplasm(膵SPN)と術前診断し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.再建方法はChild変法とし,膵空腸吻合はBlumgart変法を用いた.病理診断も膵SPNであり,腫瘍は周囲膵実質への浸潤を認めず,切除断端は陰性であった.術後合併症なく退院し,現在術後1年半で再発なく経過している.本症例は疫学的に稀な,閉塞性黄疸で発症した膵SPNの男児例であり,術前診断には慎重な検討を要した.また成人領域において膵液瘻の優位な減少が報告されているBlumgart変法は,小児の膵頭十二指腸切除術における膵空腸吻合にも有用であると考えられた.

  • 吉田 真理子, 小西 健一郎, 中原 さおり
    2019 年 55 巻 2 号 p. 274-277
    発行日: 2019/04/20
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    症例は2か月男児.胎児診断された水頭症に対し出生後に脳室腹腔シャント術を施行され,その後遺伝子検査によりX連鎖性水頭症(XLH)と確定診断された.新生児期より腹部膨満を認めたが,嘔吐・便秘はなく,当初ヒルシュスプルング病(HD)は否定的であった.日齢80に自宅で哺乳中に呼吸停止となり救急搬送され,来院時には意識,呼吸とも回復していたが,腹部は著明に膨満していた.以後も自力排便はあったが,注腸造影および直腸粘膜生検にてHDを強く疑った.日齢101に脳室心房シャント術と人工肛門造設術を行い,同時に直腸全層生検にてHDと確定診断した.7か月時にHD根治術(Duhamel法)を施行し,以後の経過は順調であった.XLHにおいては稀にHDを合併することが知られているが,本症例,過去の報告例ともにHDの診断が遅れる傾向があり,XLH患児においては早期に積極的にHDを疑い精査する必要があると考えられた.

  • 岡村 かおり, 前田 翔平, 飯田 則利, 佐藤 昌司, 米本 大貴, 飯田 浩一, 和田 純平, 卜部 省悟
    2019 年 55 巻 2 号 p. 278-285
    発行日: 2019/04/20
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    胎児内胎児は多胎の発生過程で一児が他児に取り込まれた稀な奇形で,奇形腫とは異なる病態であるが,予後に大きく関わるため両者の鑑別は重要である.大半は新生児期から乳児期に発見され,液体で満たされた囊胞内に骨構造を有する充実成分と,充実成分へ流入する血管を認めるといった超音波所見を呈し,診断の参考となり得る.今回,我々は比較的高度な身体器官の形成を認め,また特徴的な画像所見から,出生前診断された1例を経験した.腫瘤は出生後も増大し哺乳障害を認めるようになったため,新生児期に手術を行った.MRIやCTは脊椎構造の有無,栄養血管や周辺臓器との位置関係を把握でき,手術時期やアプローチ法の決定に有用である.

  • 古来 貴寛, 武之内 史子, 松岡 亜記, 矢部 清晃, 中田 千香子, 幸地 克憲
    2019 年 55 巻 2 号 p. 286-290
    発行日: 2019/04/20
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    小腸閉鎖症術後に新生児・乳児消化管アレルギー(以下,本症)が原因と考えられた壊死性腸炎の1例を経験した.症例は日齢38の男児.在胎37週5日,出生体重2,926 g.日齢1に離断型小腸閉鎖症に対し根治術を施行した.母乳,高度加水分解乳に対し本症の症状を認め,日齢38に腹部膨満著明,ショックを呈し緊急開腹手術を施行した.壊死性腸炎の診断で術後短腸症候群となった.術後はアミノ酸乳と中心静脈栄養を併用し,症状再燃なく経過した.以上の臨床経過より本症が壊死性腸炎の発症原因になったと考えられた.現在は中心静脈栄養を離脱し体重増加は良好で現在に至る.小腸閉鎖症術後は本症発症時に吻合部の通過障害をきたし壊死性腸炎を誘発する可能性が示唆された.本症発症時は積極的に腸管安静に努め壊死性腸炎の続発を予防することが重要である.

報告
委員会報告
あとがき
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