日本小児外科学会雑誌
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症例報告
保存的治療を行った小児十二指腸潰瘍穿孔の1例
岩出 珠幾安福 正男
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2019 年 55 巻 4 号 p. 835-840

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抄録

症例は14歳の男児.夜間より増悪する腹痛を主訴に当院に救急搬送された.来院時の体温は37.5°Cで,腹部は心窩部中心に自発痛と限局性の筋性防御を認めた.CTで上腹部にfree airと腹水を認め,上部消化管穿孔(十二指腸潰瘍穿孔の疑い)と診断された.日本消化器病学会の消化性潰瘍診療ガイドライン2015(以下,消化性潰瘍診療ガイドライン)を適用し保存的治療を開始し,絶食,輸液管理で抗生剤,制酸剤の投与を行った.入院2日目に解熱を認め,腹部所見も軽快した.入院5日目に経口摂取を再開し,入院8日目に退院した.ヘリコバクターピロリIgG抗体(以下,HP-IgG抗体)が高値であり,十二指腸潰瘍穿孔はヘリコバクターピロリ(以下,H. pylori)の関与が疑われた.退院後13日目の上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部に穿孔後の潰瘍瘢痕を認めた.H. pyloriの除菌療法を行い,除菌を確認後,外来で経過観察しているが十二指腸潰瘍の再発は認めていない.小児の十二指腸潰瘍穿孔例に対する保存的治療は,消化性潰瘍診療ガイドラインの適用条件を満たす症例であれば有効な治療の選択肢であると考えられた.

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