2019 年 55 巻 6 号 p. 1071-1075
症例は6歳女児で,3歳時に強アルカリ洗剤誤飲による腐蝕性食道炎を引き起こし,その後難治性食道狭窄の状態となった.経腸栄養のために胃瘻を造設した後,30回に及ぶ食道拡張術に加え内視鏡的食道粘膜切除術(Radial Incision and Cutting method:RIC法)を行ったが改善が得られず,全胃挙上による食道再建を行う方針となった.手術は胸腔鏡操作にて食道抜去を行い,開腹操作と頸部切開にて胃挙上経路を作成し,頸部にて吻合を行った.術後は経口摂取可能な状態となり,吻合部の観察と軽度の狭窄解除のために定期的な内視鏡検査を行っているが,成長障害を認めず経過は良好である.難治性食道狭窄に対する全胃挙上による食道再建は生理的かつ安全な術式として有効であると考えられた.