日本小児外科学会雑誌
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原著
専門外来において治療に難渋する小児慢性機能性便秘症の検討
―遺糞症例の特徴と発達障害との相関―
町頭 成郎山田 和歌永井 太一朗村上 雅一矢野 圭輔馬場 徳朗山田 耕嗣向井 基加治 建家入 里志
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2020 年 56 巻 4 号 p. 351-357

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抄録

【目的】当科で経験した慢性機能性便秘症の症例を集計し,患者背景・治療内容・治療成績について考察を行った.

【方法】2018年1月~12月に当科で経験した慢性機能性便秘症48例を対象とした.患者背景として性別と初・再診,発症月齢,病悩期間,初診時月齢を,また治療内容に関しては便塞栓の除去の方法と治療薬の変遷,乳製品制限の有無を,治療成績に関して現在の受診状況と排便抑制と遺糞の改善状況,乳製品制限の効果について診療録を後方視的に検討した.

【結果】48例の内訳は男児26例,女児22例,初診16例,再診32例であった.便秘発症月齢は7.5か月,初診時月齢は42か月,病脳期間は30.8か月であった(いずれも中央値).また初診時の自排便,排便抑制,遺糞の有無はそれぞれ26例/22例,38例/10例,16例/32例であった.治療効果として排便抑制は38例中30例(78.9%)で消失したが,遺糞は16例中10例(62.5%)で残存した.乳製品制限を行った35例中25例(71.4%)でその有効性を認めた.遺糞を有する症例では非遺糞症例より発症月齢(p=0.027)と初診時月齢(p=0.0001)はともに有意に遅い時期となっており,なおかつ病悩期間が有意に長く(p=0.017),発達障害の有病率も有意に高かった(p=0.00364).

【結論】遺糞症例では発症月齢が遅く,病脳期間も長い傾向にあることから早期の治療介入を行うことで遺糞症状を軽減できる可能性がある.また発達障害の合併率が高いことから,より治療効果を高めるためには従来の便秘治療のみでなく,小児神経専門医との連携も必要と考えられた.

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