【目的】腹腔鏡下虫垂切除術(laparoscopic appendectomy;LA)を施行した6歳以下の幼児急性虫垂炎症例,特に穿孔症例の臨床的特徴を明らかにすることを目的とした.
【方法】2年5か月間に当施設でLAを施行した急性期症例117例を対象とし,6歳以下を幼児群,7歳以上15歳以下を学童群として比較検討を行った.さらに幼児群を穿孔群と非穿孔群に分けて同様の検討を行った.全例開腹移行はなかった.方法は診療記録の後方視的観察研究とし,患者背景,病悩期間,術前症状及び身体所見,採血結果(白血球数,C-reactive protein;CRP),画像診断及び糞石像の有無,虫垂穿孔,手術時間とドレーン挿入,病理所見(壊疽性虫垂炎),入院期間,術後合併症を評価項目とした.
【結果】幼児群19例と学童群98例で有意差を認めた評価項目は発熱(78.9 vs 51.0%),CRP(5.50 vs 2.37 mg/dl),虫垂穿孔(63.2 vs 19.4%),手術時間(88 vs 65分),ドレーン挿入(36.8 vs 10.2%),壊疽性虫垂炎(78.9 vs 45.9%),入院期間(8 vs 6日)であり,幼児穿孔群12例と非穿孔群7例では手術時間(96 vs 55分)と入院期間(9 vs 6日)に有意差を認めた.幼児群の術後合併症は膿瘍形成1例(5.3%)とイレウス1例(5.3%)であった.
【結論】幼児群は病悩期間が同等でも学童群と比較して高い穿孔率を認めたため,注意が必要である.幼児穿孔群は非穿孔群と比較して有意に手術時間及び入院期間が長かった.幼児急性虫垂炎に対する腹腔鏡下手術は安全に施行可能であった.