2020 年 56 巻 4 号 p. 407-413
症例は潰瘍性大腸炎の加療歴を有する14歳女児.腹痛精査の腹部超音波検査で肝外側区域に長径12 cmの多血性の多結節性腫瘍を認めた.術前画像所見では,中心瘢痕がみられたが,車軸状動脈血流はみられず,辺縁の拡張した肝動脈から肝静脈へのearly venous returnも確認されたため,肝血管筋脂肪腫も鑑別疾患に挙がった.最大径が14 cmへと増大する傾向に加え有症状であることから,肝腫瘍に対し肝外側区域切除を行い腹痛は消失した.病理組織診断は限局性結節性過形成(FNH)であった.FNHは小児肝良性腫瘍中,肝血管腫に次ぐ頻度で見られ,門脈域形成異常症候群の一種とされる.FNHの典型的画像所見には中心瘢痕と車軸状動脈血流があるが,文献上これらの画像所見がみられない場合も多い.通常FNHの悪性化は稀であり経過観察が行われるが,有症状例や非典型的な画像を示す例,巨大例では外科的介入が行われる.