日本小児外科学会雑誌
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症例報告
同時性・異時性に多発した小児脂肪芽腫の1例
横田 典子石橋 広樹森 大樹島田 光生遠藤 秀子坂東 良美
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2020 年 56 巻 6 号 p. 988-991

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抄録

症例は3歳,男児.両側鼠径部外側と右背部の紡錘状の皮下腫瘤を認めたため,当科紹介受診となった.外来で経過観察を行っていたが,その後,左腋窩部及び右季肋部にも同様の皮下腫瘤が出現した.非典型的に多発し,悪性の可能性も否定できなかったため,背部皮下腫瘤を摘出し,脂肪芽腫と診断した.残りの4か所を追加で切除したところ,最初の病変と同様に,脂肪芽細胞や小型の脂肪細胞を認め,同時・異時性に多発した脂肪芽腫と診断した.術後,約1年半が経過しているが,新たな腫瘤の発生や再発は認めていない.脂肪芽腫では,発見後の早期摘出が一般的であるが,稀に本症例のような多発例が存在することも念頭におき,早期摘出後も慎重な経過観察が必要であると思われた.

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