【目的】哺乳障害を伴う新生児,乳児に対する舌小帯切開および上唇小帯切開の有用性を前方視的に検討する.
【方法】2015年7月からの4年間に武蔵野徳洲会病院小児外科で手術した哺乳不良,乳頭痛,乳腺トラブルを伴う舌小帯,上唇小帯短縮症343例を対象に,病型分類,重症度評価,手術術式,術後の症状改善率,親の満足度を前方視的に検討した.舌小帯短縮症の手術適応は独自に考案した舌小帯評価スコア(10点満点)で7点以下,上唇小帯はKotlow分類でClass III以上とした.両小帯とも表面麻酔あるいは局所麻酔後に眼科用剪刀で切開した.
【結果】男児は女児の1.5倍と多く,遺伝性を48%に認めた.受診理由は,哺乳不良312例,乳頭痛148例,乳腺トラブル110例,体重増加不良23例であった.手術術式の内訳は舌小帯のみ切開41例,舌小帯と上唇小帯の両小帯切開271例,上唇小帯のみ切開31例であった.舌小帯の病型は舌先端型14%,前方膜型48%,テント型20%,後方型18%であった.舌小帯スコアの平均は4.5点だった.術後1か月の症状改善率は哺乳不良92.5%,乳頭痛80.9%,体重増加不良61.9%であった.哺乳不良と乳頭痛の改善率に術式による差はみられなかったが,上唇小帯のみの切開でも哺乳不良と乳頭痛がそれぞれ85%,81.2%改善した.手術1か月後の満足度調査では30.6%が「満足」,66.2%が「とても満足」と回答した.
【結論】舌小帯および上唇小帯切開によって哺乳障害が高率に改善され,親の高い満足度が得られた.また舌小帯切開の適応はなくても上唇小帯が乳頭歯肉に達している場合は上唇小帯切開が哺乳障害を改善することが示された.