日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
症例報告
塩酸ブロムヘキシンが有効であった蛋白栓を伴う先天性胆道拡張症(Todani Ia型)の1新生児例
田中 尚新開 統子増本 幸二
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 56 巻 7 号 p. 1161-1166

詳細
抄録

症例は日齢30の女児.在胎37週4日,2,160 gで出生.28週の胎児超音波検査では異常は認めなかった.黄疸と心不全徴候の精査加療目的に日齢30に当科入院.入院時血液検査で黄疸と胆道系酵素の上昇を認めた.腹部超音波検査で最大径20 mmの囊腫状拡張した総胆管を認め,肝内胆管の拡張はなく先天性胆道拡張症(Todani Ia型)と診断した.また,囊腫内には最大径18 mmの蛋白栓を認めた.心不全に対し動脈管閉鎖術を先行させ体重増加を待つ間,減黄と蛋白栓の溶解目的にウルソデオキシコール酸と塩酸ブロムヘキシンの内服を行い,日齢75,体重3,300 gで肝管空腸吻合術を行った.術中胆道造影では,共通管は12 mmあり膵・胆管合流異常(新古味分類Ia型)を認めた.術中所見では囊腫内の蛋白栓は消失していた.蛋白栓を伴う先天性胆道拡張症の新生児症例は稀であり,体重増加を待つ間の術前管理として蛋白溶解療法が有効であった.

著者関連情報
© 2020 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top