2021 年 57 巻 1 号 p. 44-47
4歳男児,馬蹄腎,膀胱尿管逆流症,水腎症,左停留精巣で当院泌尿器科に通院中であった.肛門外観は正常で排便機能自体に問題はないが,排尿時に便汚染があるため当科へ紹介となった.尿路造影検査では尿道と腸管の交通は描出できなかったが,症状が持続し尿路感染を繰り返すため,膀胱鏡検査を施行した.瘻管は確認できなかったが,尿道側から色素を注入すると肛門洞への流出が確認できた.鎖肛を伴わない肛門尿道瘻と診断し手術を施行した.膀胱鏡下にガイドワイヤーを瘻管内に留置,膀胱留置カテーテルも挿入し術中,尿道の確認に使用した.砕石位で会陰縫線を縦切開し,瘻管より口側まで直腸前壁の剥離を進め,瘻管を離断した.尿道側は二重結紮し,直腸側は層々に縫合閉鎖した.術後は立位で排尿でき,便汚染や尿路感染もなくなりQOLの向上が得られた.本疾患はまれで診断や治療に関する知見は少なく,診断や術式の工夫に関して文献的考察を加え報告する.