日本小児外科学会雑誌
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症例報告
肝門部に2か所の吻合を行った胆道閉鎖症の1例
中原 康雄大倉 隆宏浮田 明見花木 祥二朗石橋 脩一高橋 雄介橋本 晋太朗後藤 隆文青山 興司
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2021 年 57 巻 6 号 p. 1012-1015

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抄録

症例は胆道閉鎖症の女児である.日齢57に肝門部空腸吻合を施行した.門脈は本幹から3分岐する型に近く,門脈左右枝が分岐してすぐに前枝と後枝に分岐していた.結合組織塊は門脈左枝と前区域枝の間に入っていたが,その背側から門脈後区域枝に沿って索状物が分岐していた.南回り胆管が索状になっていると推察された.結合組織塊は門脈左枝と前区域の間で肝被膜を損傷しないレベルで切除した.また後区域に向かう索状物は門脈後区域枝内側の肝被膜レベルまで剥離して切除した.肝門部空腸吻合術は挙上空腸の腸間膜反対側に2か所の吻合口を設け,門脈左枝と前区域枝の間,そして後区域枝と前区域枝の間の2か所で施行した.速やかに減黄が得られ,短期ではあるが経過は良好である.本症のような肝門部解剖が特殊な場合には,2か所の肝門部空腸吻合も術式の選択肢となりうると考えられた.

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