抄録
Nacholapithecus kerioiはケニア北部、ナチョラ村で発見された約1500万年前の化石類人猿である。今回、2001・2002年度に発見された上位~中位の胸椎3標本について報告する。KNM-BG 42763D標本は、その形状から第1~2胸椎と推定された。椎体長に対して椎体高が非常に低く、左上関節突起は丸い形状で頭側に伸びており、テナガザルにやや類似しているように見えた。また、上関節突起の関節面は背外側を向き、椎体の尾側関節面は腹側にやや突出していた。上位胸椎と思われるKNM-BG 48094標本は、椎体の頭側関節面形状はヒヒに類似し、椎弓と棘突起は椎体サイズ比で分厚くしっかりとした作りとなっていた。椎孔の形状においてもヒヒに似ており、横突起は変形のためか若干背尾側に傾いているもののほぼ外側を向いていた。左右の上関節突起は現生のオナガザル科や大型の新世界ザルに似てお互いがやや離れており、下関節突起の下端は背尾側に伸長していた。KNM-BG 44954B標本はその形状から中位の胸椎と考えられた。椎体の頭側関節面形状は細長いハート型でヒヒやコロブスに似ており、変形の影響から正確な観察は難しいが、横突起は背外側を向いていた。上関節突起は頭側に顕著に突出することはなく現生のオナガザル科のものに類似し、横突起基部の頭尾長は比較的長かった。頭側と尾側の椎体関節面はどちらも腹側に突出していた。Nacholapithecus上~中位胸椎標本においては、どちらかと言うと現生のオナガザル科に似た特徴が随所にみられることが示唆された。本研究は科学研究費補助金(#20247033)の助成で遂行され。