2021 年 57 巻 7 号 p. 1062-1065
小児の急性膿胸は比較的稀であり,一定の治療法は確立されていない.症例は生来健康な11歳男性.入院2週間前に左胸痛と一過性の発熱を認めたが,経過観察されていた.入院2日前に高熱と呼吸苦を認めた.近医総合病院小児科の胸部造影CTで左急性多房性膿胸と診断され,当科に入院.入院翌日に胸腔鏡下膿胸掻爬術(VATS)を施行した.3ポートで胸腔内の膿苔の掻爬ドレナージを行い,ドレーンを2本留置し手術を終了した.術後は速やかに解熱し呼吸苦は改善した.術後2年以上が経過するが膿胸の再燃を認めていない.急性膿胸の治療として手術の他にウロキナーゼなどを膿瘍腔に投与する線維素溶解療法の有用性が報告されているが即効性には乏しい.自験例では,急性多房性膿胸を呈しており線維素溶解療法の効果が限定的である可能性や,呼吸苦症状があり早急な対応が必要であることを考慮しVATSを選択し良好な結果を得た.急性膿胸,特に膿瘍の多房化,呼吸器症状を伴う場合においてVATSは有用である可能性がある.