日本小児外科学会雑誌
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おしらせ
追悼文
原著
  • 浅野 史雄, 望月 響子, 藤井 俊輔, 近藤 享史, 大澤 絵都子, 臼井 秀仁, 北河 徳彦, 野澤 久美子, 田中 水緒, 新開 真人
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1041-1048
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    【目的】胎児期・新生児期に発見される卵巣囊腫は超音波検査(US)の所見でsimple cyst(SC)とcomplex cyst(CC)に分類される.CCは卵巣捻転を示唆し従来手術適応とされたが,近年経過観察する報告も認める.今回CCに対する手術と経過観察の適応を明らかにすることを目的とした.

    【方法】1990年1月から2018年3月に当院で診療した新生児卵巣囊腫99例中CC 15例17病変(片側13例,両側2例)の治療内容や経過を後方視的に調査した.

    【結果】全例が胎児診断された.診断時CCは4病変で,胎児期に6病変,出生後早期に6病変,外来経過観察中に残り1病変がSCからCCに変化した.生後手術を5例6病変(片側4例,両側1例)に行い,10例11病変(片側9例,両側1例)は経過観察した.手術例のうち,両側捻転1例では囊腫核出術を施行したが原発性無月経となり内分泌治療を要した.片側捻転4例のうち遊離囊胞2例で脱落卵巣を摘出し,残り2例では卵巣を摘出した.片側2例は10歳以上まで観察し1例で初経を確認した.経過観察例では短期・長期合併症を認めなかった.1例は2歳まで囊腫が残存し手術を検討中で,他の9例では囊腫は縮小しUSで確認できなくなった.観察期間は中央値2.7(1~11.6)歳で,4例5病変で患側卵巣を確認した.2例を10歳以上まで観察し,うち1例で初経を確認した.

    【結論】CCに対して,経過観察は合併症なく安全で卵巣温存例もあり有用と思われた.手術は有症状例や数日以内のCC発症例で卵巣温存術が適応となり,生後1年以降も囊腫が残存する例でも手術を念頭に注意深く経過観察を行う必要がある.

  • 馬場 徳朗, 生駒 真一郎, 村上 雅一, 杉田 光士郎, 松久保 眞, 武藤 充, 川野 孝文, 町頭 成郎, 野口 啓幸, 家入 里志
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1049-1056
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    【目的】年長児腸重積症(以下本症)の発生頻度は少ないが,病的先進部を有する割合が多いとされている.年長児の本症に対しては一定の診療指針がなく,症例毎に様々なアプローチがなされている.今回,年長児症例に対する適切な診断,治療法を確立すべく自験例を後方視的に検討した.

    【方法】2007年1月~2017年12月の間に,鹿児島市立病院小児外科に入院した5歳以上の腸重積症10例を対象とし,診療録を用いて後方視的に検討した.

    【結果】対象は男児6例,女児4例,年齢は5~14歳であった.主要症状は,腹痛10例,嘔吐6例,血便2例であった.8名に非観血的整復が行われ,全例整復に成功したが,その内4例が1~5回再発した.病的先進部は3例(30%)に認められた.重積のタイプは,9名が回結腸型,1名が小腸小腸型であった.手術適応を5例に認め,そのうち整復後に再発をきたした3例において,術中腸管壁肥厚を触知し,悪性疾患が否定できないため,回盲部切除または腸管壁生検を行ったが,病理診断は,リンパ濾胞過形成または炎症性変化であった.病的先進部の検索で,腹部CT検査が9例に行われ,その他症例に応じてメッケル憩室シンチグラム,MRI検査,大腸内視鏡検査が行われていた.

    【結論】画像検査による病的先進部の検索には限界があり,本症を繰り返す症例には,手術が選択されることが多かった.本症は再発例でも特発性が一定の割合で存在するため,その都度非観血的整復を繰り返し,大腸内視鏡検査も含めた病的先進部の検索を行うことが不必要な手術の減少につながると思われた.

症例報告
  • 佐永田 友季子, 三瀬 直子, 原田 和明, 松浦 玄
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1057-1061
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    症例は9か月男児.生後3か月より嘔吐を主訴に入退院を繰り返した.初回の入院時に十二指腸造影検査を行うために経鼻経腸栄養用チューブの挿入を行ったが,その際にチューブの走行に異常を指摘できず,腸回転異常症は否定的と判断した.しかし4回目の入院時に施行した下部消化管造影検査で腸回転異常症を疑う所見を認め手術を施行した.手術所見では腸回転異常症に内ヘルニアを合併していた.内ヘルニアは回腸末端付近にできた小腸間膜裂孔ヘルニアと,それに近接した腸間膜が非薄化してヘルニア囊を形成したものの,2箇所の内ヘルニアが併存していた.腸間膜裂孔がヘルニア門となり十二指腸にあたる小腸が嵌入し,あたかも十二指腸水平脚を形成しているかのような走行であったことから,上部消化管造影検査で腸管の走行に異常を指摘できなかった.繰り返す嘔吐を認める場合には,内ヘルニアを念頭に画像精査を行うことが重要である.

  • 野田 恵佑, 山根 裕介, 吉田 拓哉, 田浦 康明, 小坂 太一郎, 江口 晋, 永安 武
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1062-1065
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    小児の急性膿胸は比較的稀であり,一定の治療法は確立されていない.症例は生来健康な11歳男性.入院2週間前に左胸痛と一過性の発熱を認めたが,経過観察されていた.入院2日前に高熱と呼吸苦を認めた.近医総合病院小児科の胸部造影CTで左急性多房性膿胸と診断され,当科に入院.入院翌日に胸腔鏡下膿胸掻爬術(VATS)を施行した.3ポートで胸腔内の膿苔の掻爬ドレナージを行い,ドレーンを2本留置し手術を終了した.術後は速やかに解熱し呼吸苦は改善した.術後2年以上が経過するが膿胸の再燃を認めていない.急性膿胸の治療として手術の他にウロキナーゼなどを膿瘍腔に投与する線維素溶解療法の有用性が報告されているが即効性には乏しい.自験例では,急性多房性膿胸を呈しており線維素溶解療法の効果が限定的である可能性や,呼吸苦症状があり早急な対応が必要であることを考慮しVATSを選択し良好な結果を得た.急性膿胸,特に膿瘍の多房化,呼吸器症状を伴う場合においてVATSは有用である可能性がある.

  • 小西 快, 青井 重善, 山師 幸大, 長野 心太, 坂井 宏平, 東 真弓, 文野 誠久, 古川 泰三, 田尻 達郎
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1066-1070
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    症例1は4か月女児.嘔吐を主訴に前医を受診し,腹部単純X線で腸閉塞症と診断され,当科紹介受診となった.各種検査で回腸末端の球状型腸管重複症(以下本症)による腸閉塞症と診断し,緊急手術を行った.症例2は3か月男児.嘔吐と血便を主訴に前医を受診し,腸重積症の診断で非観血的整復術を施行されたが整復困難で当科紹介となった.各種検査で本症による腸重積症と診断し,緊急手術を行った.2例とも回腸末端の腸間膜側・回盲弁部に内接して本症があり,回腸を切開し腸管内腔より共通壁の範囲を把握し病変の楔状完全切除を行いかつ回盲弁を温存した.各々術後4年,1年経過したが晩期栄養障害は認めていない.本症の手術は,回盲部切除もしくは粘膜抜去の報告が多いが,回盲部温存と病変完全切除を両立でき,児の将来を見据えた臓器温存と根治性を両立した術式を工夫したので報告する.

  • 髙城 翔太郎, 平山 裕, 飯沼 泰史, 愛甲 崇人, 菅井 佑, 仲谷 健吾
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1071-1077
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    一期的閉鎖が困難な腹壁異常に対して選択されるサイロ造設術を先天性横隔膜ヘルニア(congenital diaphragmatic hernia:以下,CDH)に応用した報告はほとんどない.今回著者らはサイロを造設して一時的に腹腔内容積を拡張することで,自己組織によるヘルニア門の直接閉鎖をなしえた肝脱出型右CDHの1例を経験した.症例は在胎37週,2,272 gで出生した女児.生後右CDHと診断され日齢4に開腹手術が施行されたが,肝臓を主体とした腹腔内臓器の胸腔内脱出割合が大きく,全てを引き出した後に右横隔膜を一期的に閉鎖した結果,今度は横隔膜が短縮してしまい右上腹部の腹腔内容積が減少した.人工布で横隔膜面積を拡張してから臓器を還納し直す方法も検討したが,生理的な修復法を目指して一旦サイロを造設した上で二期的に腹壁閉鎖を行う方針とした.その後乳糜胸腹水を認めたものの経過は良好で,日齢55には退院した.腹腔内臓器が還納困難なCDHでは,サイロを用いた二期的根治術も選択肢の一つとなりうる.

  • 岩中 剛, 白井 剛, 伊崎 智子, 廣瀬 龍一郎, 岩﨑 昭憲
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1078-1083
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    遅発性横隔膜ヘルニア(以下,本症)に対する内視鏡外科手術について,当院で経験した症例を提示し,手術におけるpitfallと対応策について考察した.腹腔鏡手術では,縫合操作時,特に縫合糸の挿入や体外結紮時の視野確保の不安定性が問題となり,開腹移行した症例や,脾臓や膵体部の脱転・圧排操作が影響したと思われる高アミラーゼ血症を来した症例があった.腹腔鏡手術においては,鉗子で圧排していた臓器が軽度の気腹圧変動で裂孔に押し寄せてくることがあり,確実で安定した複数臓器の圧排法を考慮しておく必要がある.胸腔鏡手術では,拡張した結腸の還納に難渋した症例を経験した.胸腔内に拡張した脱出結腸がある場合は,小腸から還納を開始し,ついで大腸,胃,最後に脾臓の順番で還納することが重要であると考えた.本症に対する内視鏡外科手術では術野の確保が重要であり,脱出腸管の拡張や脱出臓器による操作の妨害の対応策を想定しておく必要がある.

  • 好沢 克, 高見澤 滋, 畑田 智子, 清水 徹, 大澤 絵都子
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1084-1088
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    症例は7歳,女児.夜間に誘因なく間欠的腹痛を認め近医を受診,単純CT検査で腹部腫瘤を指摘され当院へ搬送となった.入院時,下腹部に腫瘤を触知し,腹部全体に軽度の圧痛を認めるも,筋性防御は認めず.造影CT検査で右卵巣腫瘍を認め,腫瘍破裂を疑われた.術中所見で右卵巣に10 cm大の腫瘍を認め,腫瘍は背側で破裂していた.腫瘍の卵管・子宮への肉眼的な浸潤,腹膜播種巣は認めず,卵管および卵管采付着部近傍の卵巣被膜を温存しつつ腫瘍のみを切除した.病理組織所見から横紋筋肉腫様成分が腫瘍の大部分を占めた低分化型Sertoli-Leydig細胞腫と診断された.術後に高リスク横紋筋肉腫に準拠して化学療法を行い,放射線療法および大量化学療法,末梢血幹細胞移植を施行した.術後4年を経過したが再発は認めていない.自験例は腫瘍破裂を認め,予後不良な組織型であることから今後も厳重な経過観察が必要である.

  • 廣畑 吉昭, 小野 滋, 薄井 佳子, 馬場 勝尚, 辻 由貴, 廣谷 太一, 関根 沙知, 堀内 俊男
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1089-1093
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    症例は14歳の男児.Haller index 4.1の漏斗胸に対してNuss法を施行した.術後経過は良好で術後12日目に退院した.術後35日目の夜間から胸痛,体熱感が出現し,翌日から嘔吐を認めた.近医を受診し,頻脈と単純X線検査で心拡大を指摘され,心膜炎の疑いで当院救急外来を受診した.超音波検査で心囊液の貯留と心房心室の拡張障害を認め,心タンポナーデと診断した.心囊ドレナージ術を施行したが,発熱が遷延し,排液は減少せず,細菌培養検査では菌を同定できなかった.ペクタスバー®(メディカルU&A,以下バー)の偏位もないことから,反応性の心囊液貯留と診断し,ドレナージ術後4日目にバー抜去術を施行した.抜去術後に症状は直ちに改善し,抜去術後11日目に退院した.Nuss法の合併症として,反応性の心囊液貯留による遅発性の心タンポナーデは非常に稀で重篤な合併症であり,遅発性合併症の可能性に留意してフォローする必要がある.

  • 鳥飼 源史, 高橋 大二郎, 藤江 由夏, 後藤 仰子, 蓮田 慶太郎, 家入 里志
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1094-1098
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    症例は在胎26週3日,胎児心拍モニター異常と骨盤位のため緊急帝王切開にて出生した男児.出生体重860 g,Apgarスコア5/9,新生児呼吸窮迫症候群の診断にて人工呼吸管理が行われた.4生日に腹部膨満と腹壁の青色調変化が出現し,単純X線にて腹腔内遊離ガス像を認め,消化管穿孔の診断にて緊急開腹手術を実施.回腸末端から約10 cm口側の回腸に穿孔を認め,限局性小腸穿孔(focal intestinal perforation: FIP)と診断された.穿孔部肛門側には腸管壁が菲薄化して膨隆した部分を認め,同領域を含めた小腸部分切除と人工肛門造設術を実施.病理所見では固有筋層の途絶消失と粘膜層の迷入を認めた.腸管壁の筋層欠損を認めるFIP症例の報告は以前からあり,穿孔を来す原因の一つとして考えられている.今回の症例では,胎児期の腸管血流異常による筋層欠損が穿孔の原因と考えられた.

  • 相吉 翼, 瓜田 泰久, 増本 幸二
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1099-1104
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    症例は7歳,男児.両側膀胱尿管逆流症に対し,1歳時にDouble HIT法による両側Deflux®注入術を施行した.術後早期に水腎を認めず,術後1年で両側膀胱尿管逆流の消失を認めたため,以降は近医で診療が行われた.6歳時に有熱性尿路感染症を発症し,左側にSFU分類grade 4の水腎症が指摘された.左尿管ステント留置を行い,7歳時に左膀胱尿管新吻合術を施行した.手術では左膀胱尿管移行部での尿管閉塞と,膀胱背側での左尿管の高度な癒着を認め,膀胱内外からの剥離操作を要した.遅発性尿管閉塞には本症例のように術後数年経過してから発見される例があり,発症すると無症状のまま腎機能低下が進行する可能性がある.本症例では,Deflux®の不適切な層への迷入や異物反応による慢性的な炎症などが原因として推察され,Deflux®注入術後は超音波検査等を用いた長期的な経過観察が必要と考えられた.

  • ―本邦小児報告例の文献的考察―
    後藤 悠大, 坂元 直哉, 増本 幸二, 宇田川 勝
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1105-1111
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    症例は14歳女児.臍周囲の痛みを主訴に救急外来を受診した.血液検査で異常所見はみられず超音波検査所見で虫垂炎は否定的であったが,食事を開始したところ腹痛が再度出現した.その後の病歴聴取によりダイエットによる体重減少が明らかとなった.造影CT検査や超音波検査では胃や十二指腸下行脚の拡張を認めaorto-mesenteric distanceは狭小化しており上腸間膜動脈症候群(以下,本症)と診断した.上部消化管造影検査ではやや前屈位で造影剤の小腸以遠への流入を認めたため,経腸栄養剤の経口摂取を開始した.徐々に経口摂取量を増量し入院12日後に退院した.本症は従来基礎疾患を有する患者に慢性の経過により生じると考えられていたが,本邦小児報告例56例のうち基礎疾患を有する症例は15例(26.8%)のみであった.腹痛のみが症状である症例は比較的稀であるが,急性腹症における鑑別疾患の1つとして本症も考慮すべきと考えられた.

  • 久山 寿子, 植村 貞繁, 曹 英樹, 吉田 篤史
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1112-1117
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    Nuss法術後に認められる心囊液・胸水貯留は比較的まれな合併症である.今回,我々はNuss法術後に発熱,倦怠感とともに,心囊液貯留を認めた症例を経験したので報告する.症例1は15歳男児で,Nuss法術後4か月頃より発熱を認め外来受診された.血液検査で炎症反応高値であり,胸部造影CT検査で心囊液貯留を認め,入院となった.創部周囲の皮膚にバー感染を示す異常所見を認めず,ステロイド投与を行い,心囊液は消失した.症例2は16歳女性で,Nuss法術後2週間後に発熱と体重減少あり受診された.血液検査では炎症反応高値で,心臓超音波検査で心囊液貯留を認め,創部周囲には異常所見がなく,ステロイド投与行い,心囊液貯留は改善した.しかし,退院後に発熱が持続したため,再度外来受診し,左胸水貯留を認めた.再度ステロイド投与行い治癒した.Nuss法術後の心囊液,胸水貯留は,バー感染が否定的な場合,ステロイド投与が効果的であった.

  • 古金 遼也, 金森 豊, 山岸 徳子, 小林 完, 森 禎三郎, 沓掛 真衣, 狩野 元宏, 高橋 正貴, 米田 光宏, 藤野 明浩
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1118-1121
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    症例は3歳女児.臍部の発赤,皮膚の翻転を主訴に救急外来を受診した.明らかなヘルニア門は触知できず,臍部皮膚の腫脹は翻転した余剰皮膚を押し戻すことで容易に軽快した.超音波検査では尿膜管を示唆する管腔構造は見られず発症原因は不明であった.外来経過観察にて発赤は改善したが,皮膚の翻転を繰り返すため,両親と相談し病変の検索を兼ねた根治手術を施行した.臍部周辺の皮膚はかなりの面積で皮下にうずもれるように余剰に存在し,全身麻酔下でこれを引き出すと救急受診時と同様の嵌頓状態を再現できた.ヘルニア門や類皮囊胞などの腫瘤はみられず,この余剰皮膚を切除し臍形成を行い手術終了した.術後経過は良好である.臍部の余剰皮膚が過剰に存在し,容易に自らの手で余剰皮膚を引き出せたという点が本症例において特徴的な現象と考えられたが,余剰皮膚の形成過程や本症例の発症原因は明らかでなく,読者諸賢のご意見を賜りたいところである.

  • 池上 満智彰, 浦尾 正彦, 田中 奈々, 芦澤 かりん, 小倉 加奈子, 松本 俊治
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1122-1126
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    症例は4か月健診で左精巣を触知せず,左停留精巣を疑われ当院小児外科に紹介となった.外性器は正常男性型であり,右精巣は陰囊内に触知されるが,左精巣は触知されなかった.超音波検査より左内鼠径輪直上で精巣様組織が腹腔内外を出入りしている左腹腔内精巣疑いにて,1歳5か月時に腹腔内精査および精巣固定術目的に腹腔鏡手術を施行した.左側の精巣様組織は鼠経管内に存在しており,萎縮精巣と考えられ摘出した.右精巣は捻転防止目的に精巣固定術を施行した.腹腔内に異常を認めなかった.病理検査では左側の精巣様組織から精巣組織は認められず,卵管・卵巣・子宮内膜組織が認められた.同一個体内に卵巣組織と精巣組織が存在することより卵精巣性分化疾患と診断した.本症例はambiguous genitaliaを伴っておらず,幼児期に診断に至った点で稀な症例と考えられた.

  • 嶋村 藍, 坂井 幸子, 河合 由紀, 清水 智治, 谷 眞至
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1127-1132
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    症例は既往のない1か月男児.嘔吐で発症し腸重積症の診断で整復されたが翌日再発し,高圧浣腸で小腸部重積が解除できず当院へ紹介となった.再度高圧浣腸を行ったが回腸の重積を整復できず,同日緊急で観血的整復術を施行した.臍をΩ切開で開腹し,下部回腸に重積を認めHutchinson法で整復した.先進部に腫瘤を認め,回腸を部分切除し端々吻合した.病理組織検査で小腸腺筋腫(heterotopic pancreas, Heinrich Type 2)と診断した.術後経過は良好で術9日目に退院し,以降再発は認めていない.小腸腺筋腫は非常に稀な腫瘍であり,小児では腸重積で発症することが多く画像検査による診断が困難なことが多い.非観血的整復術での整復も困難なことが多く,非好発年齢または再発症例,整復困難例などの非典型的経過を示す症例では,非観血的整復術にこだわることなく第一選択として手術を検討しても良いと考えられる.

  • 塚田 遼, 井深 奏司, 米山 知寿, 當山 千巌, 正畠 和典, 奈良 啓悟, 曹 英樹, 佐藤 真穂, 井上 雅美, 臼井 規朗
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1133-1140
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    18トリソミーに肝芽腫を合併した1例を報告する.症例は1歳女児.在胎37週3日,体重1,470 gで他院にて出生し,出生後に18トリソミー及びC型食道閉鎖症と診断された.日齢1に一期的食道閉鎖根治術を施行された.1歳時,嘔吐の精査目的に前医で施行されたCT検査で,肝右葉後区域に最大径66 mmの腫瘤性病変を認めたため当院に紹介された.血清alpha-fetoprotein値が16,671 ng/mlと高値であることから肝芽腫と診断した.治療を開始するにあたりPRETEXT(pre-treatment extent of disease)Iと判断して,術前化学療法としてシスプラチン単独療法4コースを行った.腫瘍の縮小を認め,1歳2か月時に肝右葉後区域切除術を施行した.術後,化学療法を追加して治療を終了した.前医に転院後,肝芽腫の再発なく経過していたが,2歳10か月時にウイルス性肺炎のため死亡した.

  • 土方 浩平, 細田 利史, 石岡 茂樹
    2021 年 57 巻 7 号 p. 1141-1145
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル フリー

    作為症/虚偽性障害(いわゆるミュンヒハウゼン症候群)は身体症状を意図的に捏造する疾患であり,小児では稀である.今回,我々は上部消化管出血との鑑別を要した作為症/虚偽性障害の1小児例を経験したので報告する.症例は13歳女児で,黒色便の訴えがあり当院を受診し,上部消化管出血を疑い上部消化管内視鏡検査,腹部造影CT,メッケル憩室シンチグラフィが行われたが,異常所見を認めなかった.外来経過観察中に吐血の訴えがあり,入院の上で上部消化管内視鏡検査,鼻咽頭内視鏡検査を行ったが異常所見を認めなかった.入院中に,患児が持参したシリンジで末梢静脈輸液路から血液を採取しているところを巡回中の看護師により目撃され,作為症/虚偽性障害と診断された.精査でも原因が明らかにならない身体症状を呈する症例では,作為症/虚偽性障害も鑑別に挙げて診療を行う必要があると考えられた.

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