日本小児外科学会雑誌
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症例報告
異所性膵に関連した小腸腺筋腫により腸重積症をきたした1か月乳児の1例
嶋村 藍坂井 幸子河合 由紀清水 智治谷 眞至
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2021 年 57 巻 7 号 p. 1127-1132

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抄録

症例は既往のない1か月男児.嘔吐で発症し腸重積症の診断で整復されたが翌日再発し,高圧浣腸で小腸部重積が解除できず当院へ紹介となった.再度高圧浣腸を行ったが回腸の重積を整復できず,同日緊急で観血的整復術を施行した.臍をΩ切開で開腹し,下部回腸に重積を認めHutchinson法で整復した.先進部に腫瘤を認め,回腸を部分切除し端々吻合した.病理組織検査で小腸腺筋腫(heterotopic pancreas, Heinrich Type 2)と診断した.術後経過は良好で術9日目に退院し,以降再発は認めていない.小腸腺筋腫は非常に稀な腫瘍であり,小児では腸重積で発症することが多く画像検査による診断が困難なことが多い.非観血的整復術での整復も困難なことが多く,非好発年齢または再発症例,整復困難例などの非典型的経過を示す症例では,非観血的整復術にこだわることなく第一選択として手術を検討しても良いと考えられる.

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