日本小児外科学会雑誌
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症例報告
吐血を訴えた作為症/虚偽性障害(いわゆるミュンヒハウゼン症候群)の1例
土方 浩平細田 利史石岡 茂樹
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2021 年 57 巻 7 号 p. 1141-1145

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抄録

作為症/虚偽性障害(いわゆるミュンヒハウゼン症候群)は身体症状を意図的に捏造する疾患であり,小児では稀である.今回,我々は上部消化管出血との鑑別を要した作為症/虚偽性障害の1小児例を経験したので報告する.症例は13歳女児で,黒色便の訴えがあり当院を受診し,上部消化管出血を疑い上部消化管内視鏡検査,腹部造影CT,メッケル憩室シンチグラフィが行われたが,異常所見を認めなかった.外来経過観察中に吐血の訴えがあり,入院の上で上部消化管内視鏡検査,鼻咽頭内視鏡検査を行ったが異常所見を認めなかった.入院中に,患児が持参したシリンジで末梢静脈輸液路から血液を採取しているところを巡回中の看護師により目撃され,作為症/虚偽性障害と診断された.精査でも原因が明らかにならない身体症状を呈する症例では,作為症/虚偽性障害も鑑別に挙げて診療を行う必要があると考えられた.

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