2022 年 58 巻 1 号 p. 35-39
小児外傷性膵損傷IIIbの治療アルゴリズムは,未だ確立していない.当院で経験した小児外傷性膵損傷IIIbの2例を報告する.症例1は,3歳女児.当初IIIa型と診断されていたが,受傷後13日目の造影CTでIIIb型と診断された.膵周囲の囊胞,腹水に対しドレナージを行うも改善は得られず,受傷後83日目に開腹脾温存膵体尾部切除術を施行した.術後経過良好である.症例2は,9歳男児.受傷後の造影CTでIIIb型と診断した.全身状態良好で,膵切除術を安全にできると判断し,開腹脾温存膵尾部切除術を受傷当日に施行した.術後膵液瘻を認めたが,保存的治療のみで改善し現在経過良好である.外傷性膵損傷IIIb型の初期治療として,膵液ドレナージが困難であり,全身状態が良好な場合には,膵切除術を選択しても良いと考えられた.