症例は女児.生下時より,会陰部左側にくびれを伴う表面は周囲皮膚と同様な腫瘤を認めた.出生前に腫瘤の指摘はなかった.1生月時のMRIでは腫瘤は径1.5 cm大であり,その深部に径0.5 cm大の骨様結節を認めた.腫瘤は肛門括約筋や肛門挙筋群とは接していなかった.潜在性二分脊椎や直腸肛門奇形,泌尿生殖器奇形の合併はなかった.体重増加を待って,腫瘤摘出術を予定した.9生月時に,腫瘤摘出術を施行し,腫瘤およびその深部の結節を摘出した.組織学的に腫瘤は脂肪腫,深部の結節は軟骨,骨組織であった.術中,肉眼的に腫瘤と深部の結節の連続性を認め,結節を含む脂肪腫が疑われた.先天性会陰部脂肪腫は稀な疾患で,様々な合併奇形を伴うことがあるほか,自験例のように脂肪腫に軟骨,骨組織を伴うことがある.術前にMRIなどで,腫瘤の性状,軟骨や骨成分などの混在の有無,また合併奇形の有無について,十分に評価することが必要である.