日本小児外科学会雑誌
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症例報告
外傷性膵損傷後の膵仮性囊胞に対し腹腔鏡下囊胞開窓ドレナージが奏功した1例
祁答院 千寛春松 敏夫矢野 圭輔長野 綾香松井 まゆ村上 雅一杉田 光士郎武藤 充加治 建家入 里志
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2022 年 58 巻 4 号 p. 734-739

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抄録

今回,IIIb型膵損傷後の膵仮性囊胞に対し,腹腔鏡下囊胞ドレナージが奏功した1例を経験した.【症例】症例は14歳男児.サッカーの試合中に他選手の膝で上腹部を打撲後に腹痛を訴え救急搬送された.Magnetic resonance cholangiopancreatography(MRCP)では日本外傷学会分類IIIb型の膵損傷と診断した.全身状態は安定しており保存的に加療する方針とした.しかしその後に,3 cm大の膵仮性囊胞を認め,内視鏡的逆行性膵管造影を11病日に施行した.主膵管は膵体部で断裂し,膵管ステントを囊胞内へ留置したが数日で脱落した.その後,囊胞は横隔膜下から腎下極に及ぶまで増大したため,入院45日目に腹腔鏡下囊胞開窓ドレナージ術を行った.術後は腹部症状や囊胞の再発は認めず経過している.【結語】膵仮性囊胞に対する腹腔鏡下囊胞ドレナージは,腹腔内の観察ができ,確実なドレナージが可能である.病態に応じて膵仮性囊胞のドレナージ法の選択肢として検討されうると考えられた.

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