日本小児外科学会雑誌
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症例報告
受傷後早期にLetton-Wilson手術を施行したIIIb型外傷性膵頭部損傷の小児例
花木 祥二朗中原 康雄大倉 隆宏高橋 雄介橋本 晋太朗石橋 脩一浮田 明見
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2022 年 58 巻 4 号 p. 740-746

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抄録

IIIb型膵損傷は治療方針が確立されておらず,また小児例の報告が少ない.我々は受傷後早期に,膵空腸吻合にBlumgart変法を用いたLetton-Wilson手術を施行し,良好な転帰を得た小児例を経験したので報告する.患者は13歳男児で,上腹部打撲を主訴に受診した.腹部造影CTで膵頭部損傷を疑った.緊急内視鏡的逆行性膵管造影を試みたが,主膵管は造影されなかった.CT所見から主膵管損傷を疑い,緊急試験開腹術を施行した.術中所見では,膵頭部は上腸間膜静脈の右縁で主膵管を含めて断裂しており,IIIb型膵頭部損傷と診断した.Letton-Wilson手術の方針とし,膵体尾部空腸吻合はBlumgart変法を用い,膵頭部断端の縫合閉鎖および大網被覆を行った.術後は膵頭部断端閉鎖部に2 cm大の仮性膵囊胞形成を認めたが,徐々に縮小し,術後25日目に自宅退院した.術後1年現在,良好に経過している.

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