日本小児外科学会雑誌
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症例報告
小児陰囊内脂肪芽腫の1例
菅沼 理江 渡井 有佐藤 英章菊池 信行咲間 裕之小笹 浩二西 大介キシュ ボルバーラ松井 青史角田 幸雄
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2023 年 59 巻 5 号 p. 872-877

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抄録

小児における陰囊内脂肪芽腫は稀であり,悪性疾患も含め陰囊内腫瘍の鑑別を要する.我々は小児陰囊内脂肪芽腫の1例を経験したので,外科的治療戦略について報告する.症例は7歳男児.1か月前からの無痛性陰囊腫瘤を主訴に受診.左陰囊内に3.0×1.5×2.0 cm大の卵形状腫瘤を正常精巣の頭側に触知した.超音波検査では左精巣頭側に表面に一部血流を伴う内部やや不均一な高エコー腫瘤を認めた.MRIではT1強調像で高信号と低信号が混在し,T2強調像で高信号の腫瘤性病変を認め,陰囊内脂肪芽腫と診断した.胸部単純X線と腹部CTでは遠隔転移を疑う所見は認めなかった.以上より,左陰囊内脂肪芽腫の術前診断で,経陰囊的腫瘍摘出術を施行した.手術所見は精索部に境界明瞭な被膜を有する黄色腫瘤を認め,輸精管と精巣動静脈への浸潤は認めなかった.精巣と精巣上体を温存し,腫瘍摘出術を施行した.病理組織診断は脂肪芽腫であった.術後2年を経過し,再発は認めない.

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