2023 年 59 巻 7 号 p. 1044-1051
【目的】沖縄県では出生前診断された先天性横隔膜ヘルニア(CDH)を含むほぼすべてのCDHは当施設に集約している.今回当施設の全CDHの治療成績を解析し,さらに出生前診断例に重症度分類から再評価を加えた.
【方法】2002年から2021年までの20年間に,当施設にて診療を行ったCDH 61例を対象とした.また出生前診断された左側isolated CDH 35例に対して重症度分類(北野分類,臼井分類)を行い,周産期・周術期情報,呼吸循環管理,予後について後方視的に解析し,それらを全国調査と比較した.
【結果】全症例ではECMO使用率18.0%,手術不能例3.3%,全生存率83.6%であった.出生前診断された左側isolated CDH 35例に対する重症度分類別比率は北野分類Group I:77.1%,Group II:17.1%,Group III:5.7%,臼井分類Group A:68.6%,Group B:20.0%,Group C:11.4%であった.これらの35例ではECMO使用率25.7%,手術不能例0%,生存率は91.4%であった.全国調査との比較では,北野分類全体の比較で有意に予後良好であった(p=0.044).当施設の全症例と全国調査との比較では,ECMO使用率が有意に高く,手術不能例が有意に少なかった.また全国調査と比べて当施設の合併症なき退院率が有意に低く,良好な生存率と相反して合併症率が高い結果であった.
【結論】当施設におけるCDH症例の治療成績は良好であった.ECMO使用率が高く,手術不能例が少ないことが治療成績に寄与していると考えられた.合併症およびQOL改善が今後の課題である.