日本小児外科学会雑誌
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症例報告
胸腔鏡補助下に肋間静脈穿刺にて中心静脈ポートを留置した短腸症候群の1幼児例
吉田 眞之 銭谷 昌弘西川 正則堺 大地竹村 理璃子野口 侑記松浦 玲梅田 聡臼井 規朗
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2023 年 59 巻 7 号 p. 1114-1118

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抄録

主要血管が閉塞した際,代替ルートによる中心静脈カテーテル留置手技が報告されている.今回我々は幼児に対して胸腔鏡補助下に肋間静脈より中心静脈ポートを留置し得たため報告する.症例は4歳男児.短腸症候群のために在宅中心静脈栄養を行っていたが,繰り返すカテーテル関連血流感染症により主要血管が閉塞したため,肋間静脈から奇静脈経由で中心静脈カテーテルを留置する方針とした.右第6肋間静脈を超音波ガイド下に穿刺し,胸腔鏡下にガイドワイヤーを奇静脈から上大静脈へ誘導し,奇静脈弓内にカテーテルを留置した.術後1か月でカテーテルが肋間静脈から逸脱したため右第5肋間静脈経由で上大静脈内に留置した.以後の経過は良好で,再留置後10か月の現在,在宅中心静脈栄養を継続中である.手技に工夫を要するが,主要血管が閉塞した幼児への肋間静脈経由の中心静脈カテーテル留置は有用な方法であると考えられた.

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