日本小児外科学会雑誌
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新生児胃穿孔の臨床病理学的検討 : 分類の提案とその原因について
武藤 良弘西村 柳介若松 忠家土山 秀夫正 義之内村 正幸辺見 武彦古川 正人
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1970 年 6 巻 2 号 p. 157-166

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抄録
新生児胃穿孔(あるいは破裂)の原因についての論争点は, 穿孔部に筋層が存在するか否かによって, 考え方が大きく違っていることである。このような問題が起こる一因として, 新生児の病態生理が複雑であり, 急激に病変が進行するために形態学的に捉えるに足る所見が認め難いこと, さらに胎児・新生児の胃形態が十分に理解されていない点が多く, 比較的大きい胃穿孔部の病理組織学的検索が不十分であったことなどが挙げられる。以前は新生児胃穿孔の原因を単に単に潰瘍にもとづくものと解釈していたが.Herbut (1943)がCongenital defect in musculature of the stomach with rupture in a newborn infantと題する論文を発表して以来, 先天性筋層欠損が胃穿孔の原因として注目され, 多くの学者の支持を得て来た。近年になりShaw (1965)らが, 動物を用いて胃内空気注入を行ない, 胃破裂を起した結果, これまで報告された先天性筋層欠損による胃穿孔症例と全く同様な所見を認め, 先失性筋層欠損にもとづくと記載されている多くの症例は, 破裂の結果筋層が退縮を来たしたものであろうと述べている。穿孔部に筋層が欠損している症例をどのように解釈すべきか, すなわち先天性に筋層が欠損しているのか, あるいは後天的原因によって欠損状態になったかを主として検討するために, 著者らは, まず人胎児, 新生児の剖検例を用いて, 新生児胃潰瘍の特徴および胃筋層の発達を病理組織学的に検討した。次いで動物実験の成績および著者らが経験した新生児胃穿孔剖検例および手術例23例の原因的分類にもとづく各々の形態学的特徴を述べると共に, 文献的考察を加えたので報告する。
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© 1970 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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