2024 年 60 巻 1 号 p. 68-72
中心静脈栄養に依存した慢性仮性腸閉塞患者(CIPO)において,カテーテル関連血流感染症(CRBSI)は重篤な合併症であるが,敗血症性肺塞栓症(SPE)の合併は非常に稀である.今回我々は環境常在菌であるRhodococcus erythropolisによるCRBSIにSPEを合併したCIPO症例を経験したので報告する.症例:CIPOの36歳女性.在宅中心静脈栄養施行中に1か月続く微熱に対し,精査されていたが原因不明であった.咳嗽あり,胸部CTにて両肺野の多発結節影が出現し,末梢血液培養にてRhodococcus erythropolisが検出された.CRBSIおよびSPEと診断し,抗菌剤治療を8週間施行し血液培養は陰性となったが,抗菌剤終了後に再度発熱と血液培養陽性となったためカテーテルの入れ替えを施行した.カテーテル入れ替え後,発熱は認めず胸部CTにて肺野結節の縮小傾向を認め退院となった.