日本小児外科学会雑誌
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学術集会記録
原著
  • 川見 明央, 望月 響子, 大関 圭祐, 奥村 一慶, 八木 勇磨, 都築 行広, 臼井 秀仁, 北河 徳彦, 新開 真人
    2024 年 60 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 2024/02/20
    公開日: 2024/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】当院では高吸水性樹脂製ビーズ(Superabsorbent Polymer Bead; SAPB)の誤飲により腸閉塞を来し手術を要した1歳児の2例を経験した.SAPBは周囲環境により吸水力が変化することが知られている.我々は,SAPBの特性を理解し誤飲症例の腸閉塞症状の予防ないし軽減の可能性を検討することを目的に,SAPBのサイズ変化に関する2つの実験を行った.

    【方法】実験1:pH 4~pH 13の溶液10種類と,生理食塩水,コーラ,牛乳,原液ガストログラフィン(Gastrografin; GGF),3倍希釈GGF,イオン飲料水の6種類,計16種類の溶液内にSAPBを浸漬し,経時的な膨張の様子を観察した.実験2:水道水に浸漬し十分膨張させたSAPBを原液GGF,2倍希釈GGF,3倍希釈GGF,生理食塩水,牛乳,イオン飲料水の計6種類の溶液に浸漬し,経時的な縮小の様子を観察した.

    【結果】実験1:SAPBはpH 7溶液やコーラ内で膨張速度が速く,pH 4溶液や原液GGF内で膨張が遅かった.膨張速度と最大サイズは概ね相関関係を示した.実験2:縮小効果は原液GGFが最も強く,希釈されたGGFの縮小効果は他の溶液と同等だった.いずれも12時間以降SAPBはほとんど縮小しなくなった.

    【結論】誤飲したSAPBの膨張を原液GGFは抑制する可能性が示唆された.腸閉塞に対するGGF投与には議論があり,手術を回避できるとは限らないが,本研究はSAPB誤飲に対する非手術的なあらたな治療戦略にむけて有用な知見である.

  • 大畠 雅之, 藤枝 悠希
    2024 年 60 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 2024/02/20
    公開日: 2024/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】小児の腹部鏡視下手術や消化器手術の経路として利用される臍部は解剖学的に陥凹し皺襞の多い構造のため術野消毒の効果が低いことが予想される.小児の全身麻酔症例を対象として臍部における術野消毒の有効性について検討した.

    【方法】2020年7月~2021年2月に当院で全身麻酔下に手術を受けた0歳から12歳未満の小児30例を対象とした.対象疾患は鼠径ヘルニア,停留精巣,その他の小手術で,消化管手術,臍ヘルニア,臍部に炎症を伴う疾患と緊急症例は除外した.術前日にオリーブオイルで臍処置を行い,術野消毒に0.5%クロルヘキシジングルコン酸塩(クロルヘキシジン)を使用した10例,1.5%オラネキシジングルコン酸塩(オラネキシジン)を使用した10例を対照群10例と比較した.検体は臍部からスクラブカップ法により採取した.

    【結果】対照群,クロルヘキシジン群,オラネキシジン群の細菌培養ではオラネキシジン群の1例を除く29例で菌種が検出された.検出された菌種はStaphylococcus epidermidisが30例中29例から,次にCorynebacterium sp.が11例から検出された.30例中26例に臍垢が残存していた.術後SSIの発生と有害事象は全例において認めなかった.検出されたStaphylococcus epidermidisを含めた全ての菌種のコロニー数は3群間において有意な差を認めなかった.

    【結論】術前日の臍処置と術前の臍部消毒の有無により臍内の細菌叢数に差があるという結果は得られなかった.術野消毒の観点から臍部消毒は必要であるが,術前臍処置は重要でない.

  • 臼井 秀仁, 北河 徳彦, 田中 聡志, 盛島 練人, 川見 明央, 近藤 享史, 望月 響子, 新開 真人
    2024 年 60 巻 1 号 p. 44-49
    発行日: 2024/02/20
    公開日: 2024/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】胸郭出口の腫瘍切除では,血管,神経,筋肉,骨など注意すべき構造が集中するため,安全なアプローチが求められる.Trap-door法は,Hemi-clamshell法とも呼ばれ,同領域へのアプローチ方法として報告されている.しかしそれ以外にも縦隔血管との剥離に注意を要する症例などにも応用可能である.小児での報告は非常に少なく,当院での経験から本術式の有効性と安全性を報告する.

    【方法】2012~2023年の11年間に当院でTrap-door法による腫瘍切除を行った5症例を対象とした.診療録を後方視的に検討した.当院でのTrap-door法は,胸骨縦切開から肋間開胸へと繋げるL字切開(または逆L字)を行い,片側の胸壁をPDS糸で牽引挙上して視野を得る.

    【結果】手術時年齢は中央値13(3~16)歳であった.5例の内訳は,胸郭出口を含む腫瘍が3例(線維形成性小円形細胞腫1例,神経芽腫1例,混合性胚細胞腫瘍1例),縦隔血管との剥離に注意を要する1例(絨毛癌1例),開心術と縦隔腫瘍,肺葉切除の同時施行が必要であった1例(BCOR関連肉腫1例)であった.1例で神経モニタリングを併用した.手術時間は中央値247(193~497)分,出血量は中央値610(12~1,186)ml.全例で腫瘍の完全切除を完遂できた.合併症は1例で一過性横隔神経麻痺を認めたが,上腕神経障害,ホルネル症候群,創部感染は生じていない.

    【結論】Trap-door法は胸郭出口の腫瘍切除に際し,良好な視野が得られ安全なアプローチである.また,その特性から縦隔血管との剥離が必要な症例などへも応用が可能である.

症例報告
  • 岡崎 英人, 高澤 慎也, 篠原 正樹, 横川 英之, 渡辺 栄一郎, 西 明, 大木 健太郎, 平戸 純子, 田中 水緒
    2024 年 60 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 2024/02/20
    公開日: 2024/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    1歳3か月,男児,感冒にて近医受診した際に腹部腫瘤を指摘され,精査目的に当科紹介となった.エコーで左腎に多房性囊胞性腫瘤を認め,また胸部単純X線にて右気胸の疑いがあった.胸腹部MRIを施行したところ,右気胸と思われたのは肺囊胞性病変であり,また両側囊胞性腎腫瘍を認めた.それぞれ切除術を行う方針とし,まず右肺上葉切除術を先行した.病理組織学的所見はpleuropulmonary blastoma(PPB)I型が退縮した病変である可能性が最も考えられた.2か月後に左腎摘出術および右腎腫瘤核出術を施行し,病理組織はcystic nephromaの所見であった.遺伝子解析を施行したところ,DICER1症候群の診断となった.多臓器での腫瘍を認めた際はDICER1症候群の可能性も考える必要がある.

  • 宮嵜 航, 近藤 剛, 竹本 隼, 吉田 安友子, 野口 伸一
    2024 年 60 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2024/02/20
    公開日: 2024/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    症例は3歳男児.磁気ネックレスのシリコンループを噛み切っており,その後嘔吐したため同日前医を受診した.腹部単純撮影で上腹部に長径6 mmの2個の接着した異物を認めた.来院時は全身状態良好であり経過観察となったが,異物が胃内から排泄されないため,内視鏡による摘出目的に,誤飲後15日目に当院紹介となった.前医画像所見より2個の磁石による消化管穿通と判断し,上部消化管内視鏡による評価後に,腹腔鏡下異物摘出を行う方針で入院となった.内視鏡では,胃内に異物は認めず,胃前庭部後壁に潰瘍瘢痕を認めるのみであった.腹腔鏡下に観察すると胃後壁と十二指腸上行部が癒着していた.剥離すると被包された2個の接着した磁石を認め摘出した.内視鏡により瘻孔形成がないことを確認していたため,腸管の剥離を最小限に留め,大網を充填するのみで手術を終えた.内視鏡を併用することで,手術侵襲の低減が期待できる.

  • 洲尾 昌伍, 澤井 利夫, 黒田 靖浩, 金廣 裕道, 岡田 文美, 武田 麻衣子, 石原 卓, 庄 雅之
    2024 年 60 巻 1 号 p. 62-67
    発行日: 2024/02/20
    公開日: 2024/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    先天性の会陰部腫瘤はまれな疾患である.今回,分葉状で粘膜様の外観を呈した会陰部成熟奇形腫の症例を経験したので報告する.症例は生後0日の女児.出生後に会陰部の腫瘤に気が付かれ,当院に搬送された.有茎性分葉状の腫瘤が膣背側,肛門右側の会陰部に存在し,粘膜様の外観を呈していた.肛門は軽度左側に偏位していたが,膣口および尿道口は正常位置に観察され,排尿および排便は問題なかった.腫瘍の局在と外観から直腸粘膜脱,膣ポリープや横紋筋肉腫が考えられたが,生検の結果,良性の腫瘍性病変と診断された.確定診断のため,腫瘍摘出術を施行したところ,腫瘍と直腸および膣との連続性は認めず,肉眼的に完全切除し得た.病理検査の結果,成熟奇形腫と診断された.腫瘍の表層は重層扁平上皮で覆われており,外陰部や肛門部の皮膚に覆われない会陰部重層扁平上皮下に発生した奇形腫のため,粘膜様の外観を呈したと考えられた.

  • 高山 慶太, 田附 裕子, 宇賀 菜緒子, 出口 幸一, 正畠 和典, 野村 元成, 渡邊 美穂, 神山 雅史, 上野 豪久, 奥山 宏臣
    2024 年 60 巻 1 号 p. 68-72
    発行日: 2024/02/20
    公開日: 2024/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    中心静脈栄養に依存した慢性仮性腸閉塞患者(CIPO)において,カテーテル関連血流感染症(CRBSI)は重篤な合併症であるが,敗血症性肺塞栓症(SPE)の合併は非常に稀である.今回我々は環境常在菌であるRhodococcus erythropolisによるCRBSIにSPEを合併したCIPO症例を経験したので報告する.症例:CIPOの36歳女性.在宅中心静脈栄養施行中に1か月続く微熱に対し,精査されていたが原因不明であった.咳嗽あり,胸部CTにて両肺野の多発結節影が出現し,末梢血液培養にてRhodococcus erythropolisが検出された.CRBSIおよびSPEと診断し,抗菌剤治療を8週間施行し血液培養は陰性となったが,抗菌剤終了後に再度発熱と血液培養陽性となったためカテーテルの入れ替えを施行した.カテーテル入れ替え後,発熱は認めず胸部CTにて肺野結節の縮小傾向を認め退院となった.

  • 石井 聖也, 石井 大介, 元木 惠太, 久万田 優佳, 平澤 雅敏, 宮城 久之
    2024 年 60 巻 1 号 p. 73-77
    発行日: 2024/02/20
    公開日: 2024/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    症例は日齢1,女児.出生後,肛門刺激で粘液状の排便を認めたが,生後6時間から胆汁性嘔吐が出現し,当院に新生児搬送となった.腹部膨満,腹部単純X線検査で腸管拡張,注腸造影でmicro colonを認め,腸閉鎖症を疑い,同日試験開腹の方針とした.右上腹部横切開で開腹し検索すると,上行結腸で完全離断型の結腸閉鎖症および脾彎曲以下のmicro colonを認め,他部位に腸閉鎖症の所見は認めなかった.口径差は1:10以上であったが,ダイヤモンド型吻合とし,diverting stomaとして臍部回腸ループ式人工肛門造設術を施行した.術後4か月に再入院とし,人工肛門肛門側から模擬便注入を開始し,吻合部口径差の改善を確認した後に人工肛門閉鎖術および臍形成術を施行し術後経過は良好である.今回,臍部人工肛門を造設し,整容面も維持しつつ安全に多期的手術を完遂し,良好な経過であった完全離断型上行結腸閉鎖症を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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