日本小児外科学会雑誌
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症例報告
粘膜様の外観を呈した新生児会陰部成熟奇形腫の1例
洲尾 昌伍 澤井 利夫黒田 靖浩金廣 裕道岡田 文美武田 麻衣子石原 卓庄 雅之
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2024 年 60 巻 1 号 p. 62-67

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抄録

先天性の会陰部腫瘤はまれな疾患である.今回,分葉状で粘膜様の外観を呈した会陰部成熟奇形腫の症例を経験したので報告する.症例は生後0日の女児.出生後に会陰部の腫瘤に気が付かれ,当院に搬送された.有茎性分葉状の腫瘤が膣背側,肛門右側の会陰部に存在し,粘膜様の外観を呈していた.肛門は軽度左側に偏位していたが,膣口および尿道口は正常位置に観察され,排尿および排便は問題なかった.腫瘍の局在と外観から直腸粘膜脱,膣ポリープや横紋筋肉腫が考えられたが,生検の結果,良性の腫瘍性病変と診断された.確定診断のため,腫瘍摘出術を施行したところ,腫瘍と直腸および膣との連続性は認めず,肉眼的に完全切除し得た.病理検査の結果,成熟奇形腫と診断された.腫瘍の表層は重層扁平上皮で覆われており,外陰部や肛門部の皮膚に覆われない会陰部重層扁平上皮下に発生した奇形腫のため,粘膜様の外観を呈したと考えられた.

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